案内役の友
ミーシャ達獣王国の面々と合流したヴァイオレット達は、魔動車で王都へと向かった
『ヒューッ、やっぱ楽だし速くていいなぁこれ。うちにも欲しいくらいだ』
『今度そっちにうちの技術班を派遣して作り方教えるよ』
『まだ試験的な使用で台数は少ないですがこれだけ快適な乗り物でしたらまず間違いなく大量生産することになるでしょう。以前拝見させてもらった魔動列車も現在製造中です』
王国と交友関係を築いて一年位経った後、ヴァイオレットは王国にも魔動車と魔動列車が普及するようにと設計図を渡した
勿論タダでというわけではなく、王国で作られている様々な魔道具の作り方を教えてもらうことを交換条件にだ
列車の方は線路を敷く必要がある為まだ実現には至っていないようだが、これがお互いの国がより発展する足がかりとなってくれた
『おっ、そうこうしているうちに着いたようだな』
馬車で何日もかかるような距離であっても魔動車であれば半日もかからずに王都に着く事ができる
門の前に到着し車から降りると、王都の兵士達が近寄ってきた
『カラミティのヴァイオレット様に獣王国のライオネル様ですね。お待ちしておりました。案内係が城まで先導しますのでどうぞお通り下さい』
『案内係?シャルルが案内してくれるんじゃないの』
『ふふっ、それは入ってからのお楽しみです。ささっ、中へどうぞ』
含みを持たせた返しで中に入るよう促してくるシャルル
不思議に思いながらも言われた通り門を潜ると、そこにはヴァイオレット達を待つ小柄な女性が待ち構えていた
『あっ!シェリアちゃん!』
『お久しぶりですヴァイオレットさん、ミーシャさん』
案内係として待っていたのは同じく友であるシェリア
三年という月日が経ってもシェリアはあの頃と全く変わっておらず一目見て分かった
『まさかシェリアちゃんが出迎えてくれるなんて。その格好をしてるってことは王都の魔法騎士団に入ったの?』
『はい!私の力が少しでも人の役に立てばと思いまして。それでヴァイオレットさん達が来ると聞いたので少しで早く会いたくてエリザ様にお願いして案内役を担当させてもらう事になりました!』
以前のシェリアはおどおどした様子で話す癖があったが、今はそれが無くなってハキハキと喋れるようになっていた
この三年の間にヴァイオレットの知らないところで努力し続けたことで自信もついたように見える
『あっ、すみません。話の続きは歩きながらにしましょう。ではついてきて下さい』
『うん、お願い』