念願の友達
王女様の言葉を聞いたヴァイオレットは暫くその言葉の意味がハッキリと理解できず呆けていた
今までの態度を見てきたヴァイオレットにとって王女様の発言の意図を処理するのには時間を要したのだ
『王女様、私の聞き間違いじゃなかったら今私と友達になりたいって言ったの?』
『そういう風に言ったつもりなんですが……何か変でしたか?』
『変だよ!だって私がいくら迫っても全然反応なかったし』
『あ、あれは王女として地位がありますし周りに人もいたので本音を言うことができなかったといいますか……私個人の感情としては素直に嬉しかったのですが立場的なものが邪魔して断るしかなかったんです』
そう発言する王女様の表情は普段の鉄仮面みたいな感じとは違い照れ臭そうにしていた
その様子を見て王女様は普段自分の感情に蓋をしていているが、本当はもっと自由に行動したいんだなというのが見て取れた
『じゃあこれからは友達……ってことでいいの?』
『私でよければ是非』
『いやったー!王女様と友達になれたー!』
『あの、友達になったのですからその呼び方は……』
『それもそっか。じゃあエリザちゃんだ!』
『は、はい!あっ、けど周りにはあまり公にしたくないので学校ではこれまで通りだと助かります。あっ!別にヴァイオレットさんと友達だというのが知られたくないというわけではなくてですね!』
『大丈夫、誰にも言わないよ。二人だけの秘密だね』
念願の王女エリザと友達になることができたヴァイオレット
王女という立場のせいで大っぴらにできない歯がゆさはあるが、多くを求めるのは贅沢というものだ
『でもどうして私と友達になりたいって思ってくれたの?』
『そうですね、ヴァイオレットさんは良い意味で裏表がない性格だなと思いましたし何より友達になりたいという熱意が伝わってきたので』
『なんだか照れるなぁ。でもアタックし続けてよかったよ』
『それはそうとヴァイオレットさん、やはり助けてもらったお礼はしたいんです』
『えー、そんな事気にしなくていいのにー』
『いえ、私の気が収まらないので!お金がダメなら何か他の物とかでもなんでも言って下さい』
何度断ってもエリザは頑として譲ろうとはしなさそうだったので、ヴァイオレットは欲しいものを考えた
頭に浮かんだのやはりアレだった
『じゃあお肉がいいかな』
『お肉ですか?』
『うん、とびっきり美味しいやつ!それをエリザちゃんと一緒に食べたいなぁ』
『分かりました!最高級のお肉を用意させますね!』
その後要望通り用意してもらった最高級の霜降り肉をエリザと共に堪能したヴァイオレットは、その日食べた肉の味を忘れることはなかった
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