王の代理として
息をしていた操られた一般人を助けた後、ヴァイオレットはエリザの元に向かって国王の安否を確認しに行った
『エリザちゃん、どう?王様は無事だった』
『ヴァイオレットさん。はい、なんとか一命は取り留めたみたいです。ですが暫くは目を覚まさないかもしれません』
『そっか』
『ヴァイオレットさん、此度の件は国王アレクサンドロスに代わり責任を持って私が対応します』
『エリザちゃんが?』
本来全ての最終的な決定権は国王にある
しかし国王がなにかしらの事情により判断を下せない場合、国王の代理が立てられ一時的にその者が国王と同等の権力を行使することができる
今回の場合第一王女であるエリザがその代理となるそうだ
『そういえば王妃様……エリザちゃんのお母さんって見たことがないけど』
『母は弟を産んだ後突然容態が急変し亡くなってしまいました。私も大分幼かったので母と過ごした思い出は殆ど覚えていないんです』
『そうなんだ……変な事聞いちゃってごめんね』
『気にしないで下さい。もう大分昔の話ですから。それで先程の話の続きなのですが、現国王であるアレクサンドロスには王の座を退いてもらおうかと思います』
『えっ、それってつまりエリザちゃんが次の王様になるってこと?大丈夫?いきなりそんな事したら王様に仕えてた人達から反感を買うことになるんじゃ……』
『簡単な事ではないでしょうね……ですが過去の転生者が過ちを犯したからといって同じ転生者であるというだけの何もしていないヴァイオレットさんに冤罪を着せてまで排除しようとするのは間違っています。今後もし同じ様な事が起こり、その度今回のように冤罪、拘束等していたらいずれ国民からの信用が得られなくなってしまうかもしれません』
そう語るエリザの目には覚悟を決めた強い意志が宿っていた
今回の一連の騒動を再び引き起こし、罪のない者を悲しい目に遭わせないよう次に活かす糧としようとしている
エリザならばきっと良い方に導いてくれるに違いない
『なので安心して下さい。ヴァイオレットさんはもう誰にも狙われません』
『エリザちゃんありがとう。私に出来ることがあればなんでも言ってね!』
これにて一件落着……かに思われたが、二人の元にある男が現れる
『姉上!』
『ユリウス?』
ヴァイオレット達の前に姿を現したのはエリザの弟であるユリウス
ユリウスはヴァイオレットを見るや否や問答無用で攻撃を仕掛けてくる
『おっとと……』
『ユリウス!何をしているの!』
『隣にいるのはまさか……貴様がヴァイオレット・カラミティアか!我等の城をこのようにした罪償ってもらうぞ!』