殺し合い
ミュゼルに操られてしまった一般人の人達は、ミュゼルが号令を出すと一斉にヴァイオレットに向かってきた
動きを見てから十分に対応出来たヴァイオレットにとってその者達は脅威にすらならなかった
だが相手は一般人、兵士達と同じ様にするわけにもいかなず傷つけないように無力化するには骨が折れた
なんせ相手は一切怯まないし気絶させようと思っても既に眠っている状態なので意味がない
しかも街の方から雪崩のように入ってきていて人は増えていく一方、一転して一般人の対処に追われる形となってしまった
『ちょっと皆止まって!ここは危ないよ!』
必死に呼びかけるも当然眠っている状態の者達に届くはずもなく人の波が押し寄せてくる
このままでは収拾がつかなくなってしまう。そう思っていると突然操られている人の一部集団が動きを止めた
ヴァイオレットの呼びかけが届いたのではない。睡眠状態の一般人を止めたのはシェリアだった
『わ、私も微力ですけど手伝います……!』
『シェリアちゃん……ありがとう!』
『私もやるわ』
シェリアの呪詛魔法によって動きを止められた者達をミーシャが拘束
二人の協力によってヴァイオレットに向かってくる人の数が緩和されていった
これならミュゼルに集中することができる。二人に一般人を食い止めてもらっている間にミュゼルを倒す
しかしミュゼルがそう簡単にはやらせてくれなかった
『そちらがそうくるのならこちらもやり方を変えさせてもらおうかの』
ミュゼルがそう言って再び指を鳴らすと、操られている人達の動きが止まりヴァイオレット達を襲うのをやめた
今度は一体何をするつもりなのかと様子を窺っていると、一人が突然隣にいた者を持っていたナイフで突き刺した
『なっ……!?』
それを皮切りに他の者達も次々と武器を取り始め、ヴァイオレット達ではなく操られている者同士で争い始めた
なんとミュゼルは一般人を利用して殺し合いを始めさせたのだ
『ちょっと、何よこれ!』
『と、止まって下さい!』
シェリアの呪詛魔法で何人かは止まるが全員を止めることはできない
操られた者同士の争いによって流れる赤い血が地面を染めていった
二人では止めきれないと判断したヴァイオレットはすぐさま加勢に入った
『はっはっは、武器を持つよう言っておいて正解だったようじゃな。多少死んだところで数はいくらでもおるからなほれほれ、早くしないとその者達全員死んでしまうぞ』
高らかに笑うとミュゼルはそのままお構いなしにと一般人ごとヴァイオレット達に向かって攻撃を浴びせていった