表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜皇女と呼ばれた娘  作者: Aoi
竜魔決戦編
307/342

夢からの脱出

ヴァイオレットを呼び止めた黒髪の女性

その女性は王都では見かけたことがないような服を来ていて、周りにいる人とは違う雰囲気を放っていた

当然ヴァイオレットは会ったことがない。しかし女性を見ているとどこか懐かしい気持ちになってくる

名前を知っていたので怪しい人物かと思ったが、そうでもないし不思議な感じだ



『あなた誰?どこかで会ったことある?』

『私が誰かなんて気にしなくていいわ。ヴァイオレット、あなた大切な事を忘れているんじゃないの?』

『大切な事……?』



ヴァイオレットの困惑をよそに邂逅して早々に謎の問いかけをしてくる黒髪の女性

その眼差しは決して何かを企んでいるようには見えない

問いかけに対して頭を悩ませるヴァイオレット、だがやはり何を忘れているのかサッパリ分からない

それを見て黒髪の女性が再度問いかけてくる



『よく思い出して。あなたは王都のお城でミュゼルと戦っていたはずよ。ルージュやニフリート達と一緒に』

『私が魔法騎士団の団長と……?ニフリート……ルージュ……そうだ、ルージュはどこ?』



黒髪の女性の言葉を聞きそこで初めてルージュがいないことに気がつく

それを皮切りに少しずつ記憶が蘇っていくことを実感した



『そうだ……私、ミュゼル団長の魔法で眠らされてそれでここに……』

『どうやら思い出したみたいね。今、眠らされているあなた達をミーシャ達が必死に守ってくれてるわ』

『ミーシャちゃん達が?早く助けに行かなきゃ!』



正気を取り戻したヴァイオレットは夢の中からどうにか脱出しようと試みる

しかしそれを阻もうとする者が現れた



『どうしたのよヴァイオレット、そんなに急いでどこに行くつもり?』

『そっちに行ったら王都から出ちゃいますよ』



ヴァイオレットを制止してきたのはミーシャとシェリア

既に正気に戻っていて二人が本物でない事は理解しているので構わず進む

そのはずなのに足が前へ動かず、なんだろうと足元を見てみると無数の手によって動きを止められていた

更に前を見る先程まで賑やかな雰囲気だった王都が火の海と化していた



『ヴァイオレットォ……』

『お前のせいでたくさんの人が死んだ。お前も道連れにしてやる』

『くっ……!』



ミーシャ達の声が怨念が込められた声に変わり無数の手がヴァイオレットを地面へ引きずり込もうとしてくる

これに飲み込まれたら二度と戻って来れなくなることは直感で確信していた

なんとかして抜け出そうとして力を振り絞ってもビクともしない

このままではまずいと気持ちが焦る。するとそこへ例の黒髪の女性が再び姿を現した



『力ずくで抜けようとしても無駄よ。ここは夢の中、言うなら精神の世界だから揺るがない強い気持ちを持つことが大切なの』

『強い気持ち……』



帰りを待っている仲間の為、そして今自分達を守ってくれている友の為

何が何でもここから抜け出してミュゼルを倒しこの戦いを終わらせる

それらを強く思うと自然と体が前に動き出した

呪詛のような声にも構わず進んでいくと、やがて前方から出口と思われる光が差してきた



『もうすぐ出られる……!ありがとう。あなたのお陰で……』



そう言いながら後ろを振り返るもあの黒髪の女性の姿は無くなっていた

結局彼女が誰だったのか分からなかったがお陰でここから抜け出すことができた

心の中で感謝をしながら、ヴァイオレットは光の方へと歩いていった



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ