合流
ミュゼル達の猛攻によって勢いを止められしまったヴァイオレット達
攻撃を避けつつ反撃を試みるも相手は攻撃と防御の二つに分かれ上手く連携をとってくるので、ヴァイオレット達の攻撃が中々届かない状態で戦況は膠着状態になっていた
『これでは埒が明かないな。いっそのことこの城ごと辺り一帯を吹き飛ばしてしまおうか』
『そんな事したら関係ない人達まで巻き込んじゃうでしょ』
『しかし大したダメージではないにしてもこうチクチクとやられたら流石に鬱陶しいぞ。我の暴食を使っても次から次へと攻撃が飛んでくる』
『私もこれだけの量をずっと撃たれ続けられると流石に食べ切れないな』
一人相手でならば飛躍的に能力が向上した今のヴァイオレットだったら竜人化せずとも倒せることができただろう
だが百人近くともなると倒されることはなくとも、相手の勢いを完全に封じ込めるにはやはり竜人化をする必要があった
しかしそれをすると城の中の関係のない使用人等まで巻き込んでしまう
これだけの数のミュゼルを竜人化せずにどうしようかと思案するヴァイオレット
すると次の瞬間城の一部が突然爆発した
『なんだ?』
『あれは……』
あそこはエリザの部屋ではなかったはず
中で何が起こったのかと爆煙が上がっている場所に目を凝らしてみると、爆煙と共に城内からエリザが飛び出てきた
『エリザちゃん!』
『え……ヴァイオレットさん!』
ただことでは無い様子で現れたエリザ
すると今度はミュゼルが飛び出してきた
エリザは着地しヴァイオレットの元にやって来ると、目の前にいる大量のミュゼルを見て目を丸くした
『な……ミュゼル団長が何人も……?これは一体どういう……』
『詳しい話はあとでするよ。それよりそっちにもミュゼル団長が行ってたんだね』
『え、えぇ……。どうやらアレクの姿になりすましていたみたいです。それでお父様を刺されてしまって……』
『王様が?大丈夫なの?』
『医務室に運んで傷は治したので問題はありません』
今回の事で国王にも責任は取ってもらおうとヴァイオレットは考えていたが、エリザにとってはたった一人の父親
このような形でやられなくて安堵していると、ミュゼル達の魔力に変化が表れた
『準備が整ったようじゃの』
『……!?何かくる!』
これまでの魔力とは違う強力な反応
異常な圧にヴァイオレットは勿論、ニフリートとルージュも咄嗟に身構えた
『お主らに見せてやろう。妾が編み出した極大魔法を』