国王に傷を負わせたのは
ヴァイオレット達の元に向かう途中で怪我をした父アレクサンドロスを見つけたエリザは医務室へとやって来た
しかし外の騒動により人は誰もいない
一先ず父親をベッドに寝かせ回復の道具を探そうとした
『うっ……!』
『待っていて下さい。すぐに薬を持ってきますので』
エリザが棚から薬を取りに行こうとすると、アレクサンドロスが腕を掴んできた
『どうしました?』
『意識があるうちに……話しておきたい……私を刺した犯人のことを……』
『……えっ?』
か細い声で耳打ちされた者の名を聞いたエリザは一瞬目を見開いたが、すぐに平静を取り戻した
『分かりました。あとの事は私に任せて今は休んで下さい』
その言葉を聞くとアレクサンドロスは動かなくなった
心臓は少し弱々しいが動いている。気を失っただけのようだ
その間にエリザは棚から薬を取り出し、アレクサンドロスの汚れた衣服を脱がし傷をに薬を振りかける
そうすることでなんとか一命を取り留めることができた後は傷の部分に包帯を巻いて安静にさせた
この状態の父親を一人にして放っておくわけにもいかず看病を続けていると、医務室に入ってくる者が現れた
『エリザ様、ここにいらしたのですね』
『アレク……』
エリザの前に現れたのはアレク
王都に戻って軟禁されて以降アレクがどうなっていたか知らなかったので、こうして面と向かって会うのは久しぶりであった
アレクはエリザを見つけると医務室の中へと入ってきた
『どうしてこんな所に……国王様!怪我をされたのですか?一体誰がこんな事を……エリザ様の方はお怪我ないですか?』
『私は大丈夫です。お父様も今は気を失っているだけです』
『そうですか、ご無事なようで安心しました』
アレクサンドロスが怪我を負いベッドで寝ている事を確認すると動揺するアレクだったが、生きていると知ると胸を撫で下ろす仕草を見せた
『では私は人を呼んできますね。薬で治したとはいえ専門の者にちゃんと刺された場所を診てもらった方がいいでしょう。エリザ様はこちらで国王様と共にここでお待ち下さい。外は戦闘が繰り広げられていて危険な状態ですので』
『待ちなさいアレク』
専門の者を呼びに行く為医務室をあとにしようとしたアレク
しかしエリザはそれをさせずに呼び止めた
『アレク……一つ聞かせて下さい。どうしてお父様が刺されたと思ったんですか?傷はもう治ってるし包帯の上らではどのような傷かまでは分からないはずです』
『…………』
『お父様の言葉を聞いた時は信じたくはなかったですが……犯人はあなたなのでしょう?』
『……くはは。あートチッちゃいましたか。そうです、国王様を刺したのは私ですよ』