囚われている場所
暫しの休息を取ったヴァイオレット達は王都を目指した
しかしその道中しつこく敵の追手が後ろから攻撃を仕掛けてきて、王都までその追手達と共に行くわけにもいかず対応をせざるを得なかった為、王都への到着は想定していたよりも時間がかかってしまった
『見えた。あれが王都だよ』
『はーデカイなぁ。確かにあれだけデカイと迷っちまいそうだ』
『この後予定通り別行動になるよ。危なくなったらすぐに撤退していいから』
『分かってるさ。そっちも気ぃつけてな』
『ライオネル様、ミーシャ様との帰還をお待ちしております』
『おぉ、お前ら無茶するなよ』
『ガルディアス、エイス、ジャニアス。頼んだぞ』
『お任せを父上』
敵の目を引きつけるという役目を仲間達に託し、ヴァイオレット達は軍とは反対方向に移動を開始した
だが目立たずに移動するとなるとニフリートはデカすぎる
そこでルージュと同様に小型化してもらうことにした
『ニフリートも小さくなることできたんだね。可愛い』
『そう言うと思って嫌だったから隠していたのだ。我に向かって可愛いなどと言うのは主くらいなものだ』
『ごめんごめん。でもその姿なら大丈夫だね』
『それで問題はミーシャが何処に囚われているかなんだが……これだけ人が多いと匂いで突き止めることは難しいな』
『そうだねぇ……あっ、そうだ。シルフ』
何かを思いついたヴァイオレットが契約している精霊シルフィーナの名を呼ぶと体の中からぬっと現れてきた
『うおっ!?ビックリした。ヴァイオレットお前精霊とも契約していたのか』
『そうなんだ。ねぇシルフ、この人と似た波長の魔力で獣人の女の子がどこかにいるはずなんだけど探すことってできる?』
『いきなり呼び出されたと思ったらそんな事?面倒臭いわねぇ』
『面倒ってことはできないわけじゃないんだね。お願い!大切な友達なの!』
『はぁ仕方ないわね。ちょっと待ってなさい』
魔力量や得意な魔法属性は人によってバラバラだが、その者の魔力から感じ取れる波長は親子であれば似ているかもしれない
そしてそれは精霊であるシルフにしか感じ取ることができない
シルフはヴァイオレットの元を離れるとミーシャを探しに王都へと飛んで行った
シルフであれば壁など関係なくすり抜けて移動することができるし、普通の人間にはまず見つからないので安心して任せる事ができる
ミーシャを見つけて帰ってくるの待ちつつ侵入しやすそうな場所を探していると、暫くしてシルフが戻ってきた
『おかえり、どうだった?』
『探している子かどうかは知らないけど似た特徴をした子が閉じ込められているのを見つけたわ』
『本当か!?』
『よしっ、じゃあ合図があったらそこに案内して』
ミーシャと思われる者の居場所を見つけたヴァイオレット達は引きつけ役を任せた仲間達の合図を待った