追い込まれていく王都
ヴァイオレット達がグレイス、リベラの連合軍を突破し森の中へと消えていったその後、王都ではその報せが届いた
『なんだと?連合軍が突破されただと?』
『はい。そのように報告を聞いております。途中我が軍が用意した魔動機竜が暴走をしてしまったようです。その暴走した魔動機竜も敵の手によって全て破壊されてしまったそうです』
『暴走だと……それでまさか全滅したわけではなかろうな?』
『いえ、相手は中央突破をしてきたので被害はそこまで大きくはないそうです』
『ならすぐに追撃はできるのか』
『いえそれが相手は森の中に消えてしまったそうで追跡は行っているようですが追撃は困難とのことです。それと……あの……』
そこまで言うと報告係の男が言葉を濁らせる
『どうした?続きを話せ』
『はっ……最初に二頭の竜の存在を報告したと思いますがその事について訂正が。二頭の他に更に三頭の竜を確認したそうです』
『他にも竜が……それも三頭だと?』
計五頭の竜がこの王都に迫って来ている
それだけの竜を従えるヴァイオレットの存在をアレクサンドロスは改めて危険視した
『やはりあの時にちゃんと始末しなくてはいけなかったか……それで相手はこちらにあとどれくらいで来るか分かるか』
『単純な距離での計算では二、三日程度でこの王都に到着するかと思われます』
『そうか。ならイアニス平野にいる兵士達に伝えろ。ただちに敵軍を追って敵を少しでも消耗せよと』
『しかしそれですとかなりの被害が出るかと……』
『何を甘いことを言っている。王都にまで乗り込まれたら国が終わるかもしれないのだぞ。どれだけの犠牲が出ようと相手の戦力を削ぐのだ』
『ハッ!そのように伝えておきます』
アレクサンドロスに一礼し男はイアニス平野にいる者達に連絡をしに玉座の間をあとにした
すると男と入れ違いで魔法騎士団団長であるミュゼルが入ってきた
『おーおー、何やら大変なことになっておるようじゃのぉ』
『ミュゼルか。お主も敵の襲来に備えておいてくれ。期待していた魔動機竜も暴走してしまって今はお主の力だけが頼りだ』
『魔動機竜が暴走ねぇ。まあ予定通りじゃのぉ』
『予定通り?それは一体どういうことだ?』
『魔動機竜を暴走させたのは妾じゃからのぉ』
『なんだと……?』