敵陣突破
ヴァイオレット達に向けて放った砲撃を凌いだ三本の柱、その正体は三体の竜によるもの
三体の竜の姿を見るとヴァイオレットは竜達に向かって手を振った
『エイス、ジャニアス、ガルディアス!こっちこっち!』
『おぉ主、加勢に来たぞ。といってもこの様子は手助け不要だったか?』
『そんな事ないよ。来てくれてありがとう』
ヴァイオレット達が地上を進軍している間、それとは別にガルディアス達は上空から進軍をしていた
相手はこちらに竜が複数いるとは思っていないだろうからギリギリまで戦闘には参加しないよう伝えておいた
急に現れた竜の加勢に今頃相手は面を食らっていることだろう
『まだ上空にいるワイバーンの軍勢が残っているようだな。奴等の相手は俺達に任せてもらおう』
『ありがとう!頼んだよ!』
この軍を突破した後も王都への移動は続く。上空からワイバーン達が追いかけてくるかもしれないので掃討は必要
ワイバーンの軍勢に突っ込んでいったガルディアス達、あの三人に任せておけば問題ないだろう
『よしっ!今のうちに皆突っ切るよ!』
『了解!』
あの砲撃を連発するのは難しいはず。次が来る前に突破を試みる
相手軍の兵士達は突然の竜の登場にまだ混乱している。こちらの勢いも相まって突破するのはそう難しくはない
『突破した!このまま森まで行くよ!』
最早ヴァイオレット達を止めるだけの力は相手にはもうなかった
敵軍を突破したヴァイオレット達は森の中へと入っていき、そのまま行方をくらました
その頃には上空でワイバーンの群れと戦闘を繰り広げていたガルディアス達も、気づけばワイバーンを片付けて再び敵の射程圏外まで高度を上げて消えていた
『突破されてしまいましたね……追跡しますか?』
『いや……やめておいた方がいいだろう。無理に追いかけても被害が増えるだけだ。それよりも……』
ヴァイオレット達が通過していった場所には大量の死傷者達
今すぐ追ったところで生きている者の治療と軍の立て直しを行わなければ返り討ちに遭うのは目に見えている
『くそっ、まさか他にも竜がいたとは。しかも三頭も……あの数の竜を相手にできるだけの戦力はこちらにはもうない……』
想定外の参戦もあったがそもそもの地力の差が違い過ぎていた
あの竜達が加わらなかったとしても結果は同じだっただろう
無様に敵の進軍を許してしまった以上どんな処分を言い渡されるか
それでも指揮官としての務めを果たすべく、クロウドは王都に突破された旨を報告した