別の手段
用意された魔動機竜三体はヴァイオレット達の手によって破壊
それを見ていたクロウド達は傍観する事しかできなかった
『魔動機竜が全滅……暴走していたからこちらも助かりはしたが……』
『まさか足止めにすらならないとは……どういたしましょう』
ワイバーンの群れを差し向けてもダメ。頼みの綱であった魔動機竜もダメ
獣人の軍を相手にするだけでも大変だというのにあの化け物達まで相手にしていたらかなり厳しい
『クソッ……一体どうすれば』
指揮官に任命されてこのザマでは立つ瀬がない
次なる一手をどうするかと頭を悩ませていると、兵士が一人報告にやってきた
『クロウド様リベラの指揮官がいらっしゃいました』
『なに?』
『どうもクロウド殿』
報告にやってきた兵士の後ろから馬に乗った男が現れる
その男はクロウドの元まで来ると下馬して話し始めた
『苦戦しているようですなクロウド殿』
『ドリス殿、不甲斐ないところを見せてしまいお恥ずかしい限りです』
『いえ、戦っている様子を見させてもらっていましたがあれは確かに手強い。苦戦するするのも無理はありません』
『そちらの状況は?』
『我々の軍は右翼の端でしたので被害はありません。相手はどうやら中央突破を仕掛けているようなので動きを見て既に後方に移動させています』
『助かります』
『して次なる作戦はお決まりですか?』
その言葉を受けてクロウドはすぐさま返すことができなかった
単純な武力でこちらが対抗するのは極めて難しい
どうするべきかと悩んでいると、その様子を察したドリスが提案を出してきた
『もしお困りのようでしたらこちらの作戦に協力して頂いてもよろしいですか?』
『作戦ですか?一体どのような作戦でしょうか』
『現在相手は中央突破を仕掛けていて我々はそれを防ごうとしている状況、けれどこのままではいずれ突破されるのは目に見えている。なら敢えて中央を突破させてしまいましょう。そこへ我々が用意した兵器で一網打尽にします』
『そのような兵器を用意していたのですか』
『我々も手ぶらで来たわけではわりませんからね。ただ一発限りですので必ず命中させなくてはなりません』
『……分かりましたそれでいきましょう。我々が誘導しますのでドリス殿はそちらの準備をお願いします』
他に手段がない今その案に乗るしかないと考えたクロウドは、戦っている兵士達に指示を送り作戦を開始させた