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竜皇女と呼ばれた娘  作者: Aoi
竜魔決戦編
269/342

上空から

ヴァイオレット達が相手の動きを察知して移動を開始した頃、ノルマン達のいるアニマでは既に戦闘の準備は完了していた

そして大橋に向かわせていた者達も帰還してきて報告にやってきた



『ノルマン様、橋に爆弾の設置完了しました』

『ご苦労だった、お前も持ち場について戦いに備えろ』

『ハッ』



街に住む一般人の避難も事前に避難ルートを確保していたので迅速に行えていつ敵が来ても戦える準備は整った

あとはワイバーンで偵察に向かわせた者の報告を待ち、その内容によって作戦を伝える

事前に聞いていた報告によると相手にはまだ若いが一頭の竜がいるとのこと

アニマには王都程ワイバーンを手懐けてはいないので、流石に竜を相手にするの厳しい

だが王都のように人が多く行き交う場所でないこの街だからこそ扱える兵器もある



『まさかあれをまた使うことになるとはな』



そう言いながらノルマンが見つめた先には街には似つかわしくない巨大な砲台が設置されていた

この兵器は昔、獣王国と戦争をしていた頃に使われていた兵器であり一撃の威力は通常の魔法攻撃の何百倍にもなる

ここ暫くは使われることなく飾りのようなものだったが、停戦協定を結んだ後も何かあった時の為に欠かさず点検は続けさせていた



『これを使えばいかに竜とてひとたまりもないだろう』



竜を一撃で屠ることができれば敵軍の士気も下がることは間違いない

ただ一発撃った後は最充填するのに時間がかかる為、万が一にも外すことは許されない

なので相手に竜がいることを聞かされた時から確実に命中させることができるようある改良をこの砲台に施していた



『偵察に向かわせた者が帰ってくるまでにはまだ時間があるな。それまでにもう一度砲台の点検を……』



万全を期す為に再度点検するよう指示を送ろうとしたその時、大橋で待機されている者と連絡を取り合っている兵士が慌てた様子で駆けつけてきた



『どうした、橋にいる者から何か連絡があったのか?』

『ハッ……先程橋の上空を竜二頭が通過していったとの報告がありました』

『やはり既に上陸していたか。ならここに来るのも時間の問題……待て、竜二頭?一頭ではないのか?』

『は、はい……報告によると確かに二頭の存在を確認したと』



橋を越えてやってくることは予想していたが、情報にないもう一頭の竜が現れるという想定外の事態にノルマンは動揺を露わにした

だがそれも数秒、すぐさま指示を送る



『分かった、橋を見張っている者達には引き続き監視をするよう指示を送れ。こちらはこれより迎撃態勢に入る』

『了解しました!』



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