王都までの移動手段
駐屯地から地図を盗んで待機していた船へと戻ってきたヴァイオレットは早速作戦会議を行った
港から王都までの距離は予想していたよりもかなりあり、そこまでにはいくつもの村や町が存在していた
それらを避けて通ることは可能ではあったが、それによって無駄に体力を消費することになり食糧も底を尽きてしまう可能性がある
なにより相手よりも先に仕掛けようというのに迂回をしていたら意味がなくなってしまう
『船はこの港から離れた砂浜に停泊するとしてどうやって移動しようか……』
『まさか陸での移動を頭に入れていなかったとは主も詰めが甘いな』
『うっ……確かに見積もりがちょっと甘かったみたい……』
エリザ達が自分達の元まで来ることができたのだから王都までそう遠くないと考えていた
こんなことならエリザと共に行動していたミリアーナを連れてくればよかったとも思ったが、彼女は王都に嫌な思い出があるので今回の作戦には参加させないことにしていた
とはいえやはり話くらいは聞いておけばよかったと後悔していると、ノットが話しかけてきた
『ちょっといいかのヴァイオレット様』
『どうしたのノット?』
『実は見せたいものがありますじゃ。こちらへ』
ノットに誘われてヴァイオレットがやって来たのは船中の倉庫となっている場所
そこには食糧の他に大きな布に覆われたものがあった
『ノットこれって?』
『ふっふっふっ、これがあればヴァイオレット様の悩みはすぐに解決できますじゃ。とくとご覧あれ!』
ノットの合図で一斉に布がめくられる
するとそこから列車に似た形をした乗り物が現れた
『これ……魔動列車?』
『これは魔動列車を小型化したもので更に小回りが効くようにしてこのハンドルで運転できるようにしたんじゃ。名づけるならば魔動車じゃな』
『魔動車……まさか船を作ってる合間にこれも作ってたの?相当無理したんじゃ……』
『なぁにこれくらいどうということはありませんじゃ。魔動列車と構造は大して変わらないから簡単なもんじゃったよ』
『ありがとう!これでなんとかなりそうだよ!』
ノット達がこの魔動車を用意してくれていて本当に助かった
もしこれがなければ皆一緒に長距離走をすることになるところだった
この魔動車を利用し、ヴァイオレット達は王都に向かうルートを練ることにした