海上でのやりとり
王都へと向けて出航したヴァイオレット達一行
慣れない船の操舵もノット達の指示のお陰でどうにか航行することができた
『さて、無事に出航することができたわけだがここからどうするつもりなのだ?』
『そうだね、まずは地図を手に入れることが必要かな。私お父さんに意識失った状態で連れてこられたから王都までの道とか全然分からないし。その為にまずは私が一人で港まで行って地図を手に入れてくるよ』
『一人で大丈夫なの?僕も行こうか?』
『いや、あまり大人数で行動してたらバレちゃうかもしれないし見た目人間の私の方が怪しまれないでしょ』
あちらにも獣人などの亜人はいて問題はないかもしれないが、警戒が厳しくなっている状態で仲間を連れて行くのはリスクが大きい
自分一人だけなら万が一バレてもすぐ飛んで逃げることができる
『では我等はそれまで待機ということでいいのだな?』
『うん、あっちもこっちが来るのを警戒しているかもしれないしこのまま策もなしに港がある場所まで行ったら攻撃されるのは間違いないだろうからね。でも王都に向かうには港は越えないといけないからその為に助っ人を用意したよ』
『助っ人?』
『おいでクラちゃん』
ヴァイオレットが海に向かって名前を呼ぶと、目の前にクラーケンがゆっくりと姿を現した
クラーケンのことは仲間達には話していたが、実際に初めて見る者もいて腰を抜かしていた
『こ、これが話に聞いていたクラーケン……なんて大きさなんだ』
『クラちゃんには囮になってもらって相手がクラちゃんに夢中になってるその間に私達は別の道から進むっていうのが理想かな』
『ふむ、確かにこいつが港に現れれば我等に意識は向かないだろうな』
こちら側にクラーケンが味方についている事は相手も把握していないはず
あくまでエリザ達が情報を明かしていなければの話だが
これでクラーケンに対する対策までされていたら残念だがエリザ達も敵と認識するしかないだろう
『クラちゃんも一緒に行けたらいいのにねぇ』
『クラちゃんがずっと陸にいたら干物になっちゃうよ。それじゃあ港が見えてきたら暫く待機してて。ちょっと行ってくるから』
『気をつけてね』
王都の地図を入手する為、ヴァイオレットは一人空を飛んで港へと向かった