援軍要請
隣国リベラ
人口一千万人程な国家でありアレクサンドロスのいるクレイス王国と同規模程度の国
先日の件でそのリベラとの同盟を求め、アレクサンドロスはリベラの首都であるフラタリアへと使者を送った
『ゼイルス様失礼します。クレイス王国より使者がやって参りました』
『使者?そのような話は聞いていないが』
『なんでも緊急の用件だそうで』
『……分かった。すぐに行こう』
部下からの通達により使者との面会を頼まれたのはリベラの外交官であるゼイルス・マグネイア
他国との交渉などは全てこのゼイルスの元へと入ってくる
ゼイルスは多忙な為、通常面会は書状等を事前に送ってもらわないと対応することはしていなかったが、今回の相手は友好を結んでいるクレイス王国
多忙の最中に事前の連絡も無しに来られるのは正直迷惑ではあったが、他国の王子も預かっている手前無下な対応をとることは出来ない
それにこのような事は今までになかったので、余程緊急な案件なのだろうという事で面会に応じることにした
会談などに使われている応接室の扉を開けるとそこには王国の使者が待ち構えていた
『お初にお目にかかりますクロッカス様、クレイス王国より参りましたビスカと申します。本日は事前連絡がなかったにも関わらず面会に応じて頂き感謝致します』
『いえ、友好関係にある貴国を無下になんてできませんから。して本日はどういったご用件で?部下から緊急の用件とお聞きしましたが』
『はい、実は現在我が国はある軍勢と交戦中なのです』
『なんですと?クレイス王国が?そのような話は初めて聞きましたね』
外交官を務めていると他国の情報等は嫌でも耳に入ってくる
それでもクレイス王国が戦時中なんて話は初耳だった
『交戦中と言いましても相手はここからかなり離れた大陸にいます……しかし先日我々が送り出した軍はその者達に壊滅されてしまいました』
『なんと……』
『近いうちに相手は王国に直接牙を向けてくるでしょう。そうなればリベラにも危険が及ぶやもしれません。そうなる前にどうかお力を貸して頂けないでしょうか』
正直こちらにとって支援をしてもあまり得がない話だ
リベラが危険だとか言われても大袈裟にいっているようにしか聞こえない
だが切羽詰まっているのは目の前の男の様子を見て理解できた
断るにしてももっと話を聞いてからでも遅くはないだろう
『分かりました。ですが今この場では承諾しかねます。この話は一度陛下にも相談させていただきますのでより詳細な情報を聞かせて頂けますか』
『畏まりました。勿論包み隠さずお伝え致します』