竜の国へ
竜の国、その名の通り竜だけが住んでいる国である
地上にいる人間達は地上にいる竜が卵を産んで孵らせるという認識でいるが実際のところはそうではない
竜の卵を孵すのには適切な環境が必要であり、その環境に最も最適なのが竜の国で皆そこで産まれ育つ
ヴァイオレットはそんな竜の国に行きたいとニフリートに明かした
『主よ、竜の国がどういう国か分かっているのか?』
『お父さんやお母さんの故郷で子供の頃寝る時によく聞かされたから知ってるよ』
『なら我々竜以外の出入りが固く禁じられている場所ということは知っているだろう』
同族以外の者が足を踏み入れたらタダでは済まない
だがそれはヴァイオレットも承知の上で頼んでいる
ヴァイオレットの真剣な眼差しを見てニフリートは止めても無駄だと悟った
『我もできるだけ守ってやるが命の保証はできないぞ。なんせ竜の国にいる奴らは国を出た竜と違って頭が固い老いた竜が多いからな』
『大丈夫、いざという時は思いっきり逃げるから』
『うむ、そうと決まれば早速向かうとするか』
竜の国に行く目的はただ一つ、ニフリート達の様に仲間になってくれそそうな竜を探すこと
仲間達が鍛えて強くなってるくれることは信じて疑わないが、より犠牲を少なく勝利を手にするにはやはり圧倒的な力が必要になる
単純な手段ではあるがかなりの危険が伴う行為、それでも仲間の為にとヴァイオレットは竜の国へと向かう事を決めた
『さぁ行くぞ主よ。しっかり捕まっていろよ』
『よろしくね』
『ボクも行くよ!』
ヴァイオレット達が竜の国へ向かおうとした直前でルージュが前に飛び出してきて止めてきた
ルージュは先日の件で負った傷は治ったもののまだ全回復しているとはいえなかったので、竜の国には同行させるつもりはなかった
だから内緒で行ってしまおうとしてたのだが勘づかれてしまったようだ
『ダメだよ、ルージュはまだ本調子じゃないんだから』
『ボクはヴァイオレットとは離れるつもりはないよ!迷惑はかけないから連れてって!』
ついていくことを断るヴァイオレットに必死にしがみついて離れようとしないルージュ
こうなる事が予想できていたから内緒で行こうとしていたのに……
言っても聞かないのは分かっていたので、バレた以上は仕方がないのでルージュも連れて行くことに
ヴァイオレット達がこれから向かう竜の国、その場所は地図には記されていない
ユーレシカ大陸も未開の地として全容は記されていなかったが、竜の国はそもそも人間達はその存在を知らない
それは人では決して到達することができない場所にあるからである
その場所というのは遥か上空……そう、雲の上にあるとされている
そこを目指してヴァイオレット達はニフリートの背に乗りカラミティを出立した
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