友人となる為に
王女様の側近アレクがやって来てから数日が経った
アレクは鉄仮面の王女様と違い、話しかけられれば誰にでも笑顔を振りまく
美男子に爽やかな笑顔を向けられて嫌な気持ちになる女生徒はおらず、休み時間になるとよくアレクを覆う包囲網が出来上がっている
それを王女様も黙認しているようで、アレクに用がない時は基本放置していた
『今日も凄い人気ぶりねぇ』
『ミーシャちゃんは気にならないの?』
『そもそも種族が違うし。そんな事より勉強よ勉強、もうすぐ一度目の試験があるんだから。あなたも勉強した方がいいわよ。かなりアレなんだから』
『そうなんだけどねぇ。文字を見てるだけで眠たくなってきちゃうから全然捗らないんだよねぇ。ふぁ~……』
『そんなんじゃ数日後にはこの学校とおさらばすることになるわね』
『そんなのやだよぉ』
『だったら頑張りなさい』
ミーシャに喝を入れられながら習ったところの復習を嫌々やっていると
すると囲まれているアレクがその包囲網を掻き分けてヴァイオレット達の方に向かってきた
『えっ、なんかあの人こっちに来てるんですけど。ヴァイオレット、あなた何かしたの?』
『えぇ?何もしてないよ?王女様にはアプローチは続けてるけど』
『どう考えてもそれ関連しかないわね』
しつこく付き纏うヴァイオレットに文句でも言いにきたのかと思わず身構える
しかし予想に反してアレクは爽やかな表情で語りかけてきた
『初めまして、私アレクといいます』
『う、うん知ってるよ。王女様のお付きの人だし』
『そうでしたね、こうして面と向かってお話するのは初めてなので改めて自己紹介をと思いまして』
気さくな感じで話しかけてくるアレクに若干戸惑いの表情を浮かべるヴァイオレット
アレクの方から誰かに話しかけてくるということは今までなかったので、それまでアレクを取り囲んでいた女性陣がこちらを睨んでいた
『ヴァイオレットさん、エリザ様から話は伺っていますよ』
『えっ!王女様が私の話を!?なんて話してたの?』
『何度も執拗に絡んでくるとても活発なお方だと』
『うーん、褒められてる?』
『そんなわけないでしょ。やっぱり怒ってるんじゃないの』
『安心してください。エリザ様は気にしていませんしヴァイオレットさんに対してこちらがどうこうするつもりもありませんよ。ですがエリザ様は多忙なお方、あまり負担になられるような事続けられるとこちらとしても困るのです。そこでヴァイオレットさんに提案です』
『提案?』
『今度行われる試験、その試験でヴァイオレットさんがエリザ様より優秀な成績を修めたらエリザ様はあなたをご学友として認めて下さるそうです』
『それ本当!?』
『えぇ、その代わりもしエリザ様の方が成績が上だった場合もう二度と近づかないようにとも仰っていましたが』
チャンスは一度きり
それでもこの機会を逃したらまた相手にされなくなってしまう
可能性があるならとヴァイオレットはその提案を受けることにした
『いい成績を残せば王女様とお友達になれる……私やるよ!』
『決まりですね。では健闘を祈っていますよ』
アレクはそれだけ伝えると自分の席へと戻っていった
王女様よりいい成績を残すには一番苦手な筆記の方をどうにかしなくてはならない
だが勉強方法なんて知らないヴァイオレットは誰かに教えてもらうしかなかった
『というわけでミーシャちゃん!私に勉強を教えて!』
『私?私も自分の事で手一杯よ。そもそもあなたの頭で残り数日必死に勉強したとしても王女様よりいい点数を取ることなんて絶対に不可能よ』
『そんなぁ……おねがぁい』
『はぁ……まぁ合間に少し教える位ならいいわよ。ルナ達にも聞いてみましょ』
『ありがとうミーシャちゃん!』
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