身を挺して
カラミティからやって来たのは瀕死のルージュを助けに来た面々
数は僅か十数人、怪我を負っていない者達なようだが全員非戦闘員
助けに来たところで焼け石に水だ
『なんで……!こっちに来たらやられちゃうよ……!』
『我等もカラミティの一員!何もせずにはいられません!』
ルージュの制止を聞かずに向かってくる
武器を持っていても扱いを知らないのでは脅威にならない
敵もそれを見抜いていて全く臆している様子はなかった
『ただ突っ込んでくるだけの奴にビビる必要はない。同じ数を当てて適当に片づけておけ』
向かってくる相手と同じ数をぶつけて対応
それでも構わず突っ込んでくる相手に騎士達は魔法を放つ
騎士達の攻撃は見事に全弾味方に命中
あまりに呆気ない決着……かと思いきや、亜人達は傷を負いながらもルージュを救おうと止まらず前進してきた
『怯むな!諦めなければ必ずルージュ様を助けるタイミングがあるはずだ!』
『ちっ、今ので倒れておけば楽に殺してやったものを。動けなくなるまで撃ち続けろ!』
一度では倒れないと分かると騎士達は容赦なく魔法攻撃を浴びせ続けた
一人、また一人と倒れていくが、それでもルージュを助けようとする足は止まらない
けれど勢いだけでは救うことはできない
やがて最後の一人も攻撃に耐えることが出来ず地に伏してしまう
『面倒な手間をかけさせやがって』
『待て、そいつらよりもこっちの竜が先だ』
『それもそうか。せいぜいそこでこいつの最後を見届けることだな』
『くっくそっ……』
取り押さえられたルージュの仲間達は必死に体を動かそうと藻掻くが、傷を負っている状態ではどうすることもできなかった
邪魔者がいなくなり今度こそルージュに止めを刺そうとする
今度こそダメかと思った刹那、新たに阻む者が現れる
『ごめん!遅くなった!』
『ヴァイオレット様!』
『ヴァイオレットが来てくれたぞ!』
ミュゼルと戦っていたヴァイオレットが間に合ったことでカラミティ側は沸き立ち、騎士側は団長と戦っていたはずのヴァイオレットだけがやって来たことに驚愕していた
『馬鹿な!ミュゼル団長がやられたというのか!』
『そんなはずはない……何かの間違いだ!』
『私の仲間に何やってるの?』
相手が動揺している間にヴァイオレットは仲間を取り押さえていた騎士達を吹き飛ばし救出する
『大丈夫?確か皆町の中にいたよね。どうして外に出てるの?』
『ヴァイオレット様!ルージュ様が私達を守ろうとして……!』
『ルージュ?』
仲間の言葉で振り返るとそこには片方の翼を失った状態で倒れているルージュの姿があった
『ルージュ……?』
最も親しい友の悲惨な光景を見た途端、ヴァイオレットは頭の中で血管が切れたような音がした
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