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竜皇女と呼ばれた娘  作者: Aoi
竜魔決戦編
210/342

力量の差

隠れているシャビールという相手は初手の攻撃以降ヴァイオレットの影は使わず別の影を利用して攻撃を仕掛けてきた

敵は影の中から飛び道具を飛ばしてきてヴァイオレットを牽制しつつもう一人が戦いやすいように動いている

常に影の場所を把握しながら戦うというのは初めてのことでヴァイオレットは少し戸惑ったが、それでも相手の攻撃を躱しつつ機を窺い続けた



『どうした!さっきの威勢はハッタリか?』



目の前にいるロックスという隊長も恐らく何らかの特殊な魔法を隠し持っているに違いない

調子に乗っているのは癪に障ったが気にせず避けていると再び動きが封じられた

狙っていたタイミングを逃さぬようにとすぐさま背後に向き直り影に手を伸ばそうとする

しかしヴァイオレットの目論みとは違い、そこには先程のように動きを止めてきた手ではなく影そのものが拘束をしていた



『影縛り』

『うわ、なにこれ気持ち悪い』

『しっかり捕まえとけよぉ!』



影が足元から伸びてきてヴァイオレットの全身を締め付けてくる

拘束をすぐに解くことはできるがそこからロックスの攻撃を避けるのは難しいか



『炎浄!』



そう唱えるとロックスの持っていた剣に白い炎が纏った

その炎にどんな効果があるのか分からないがそのまま影ごとヴァイオレットを斬ろうとしてきていたので、ヴァイオレットは自身を拘束している影から逃れると白い炎が纏った剣を拳で弾いて軌道を逸らした

剣は空を切る結果となりヴァイオレットの手の甲に白い炎の残滓だけが僅かに纏う形となった

普通であればまた攻撃を外して仕切り直しとなる場面、だがロックスはヴァイオレットの手の甲を見て笑みを浮かべた



『炎に触れたな』

『ん?この炎……消えない?』



火の粉程度だった炎がどんどん大きくなっていき手で振り払って消そうとしても炎は消えるどころか勢いを増した



『それは浄化の炎。この炎に触れたら最後、対象を焼き尽くすまで燃え続けるんだ』



確かに水をかけてもまるでそこに炎がないかのように水は白い炎をすり抜けて流れていった

これがこの男の能力、確かにこれを仲間に使われていたらより多くの犠牲が出ていたことだろう



『これで貴様もいずれ塵となる。俺達の勝ちだ!ハハハハハッ!』



勝ちを確信したロックスは高らかに笑う

ヴァイオレットを討ち取ったとなれば自分は王に称賛され、より高い地位に就ける

そうすれば金も女も今よりももっと好きなようにすることができるだろう

そんな未来を考えながらふとヴァイオレットの方に視線を向けてみると違和感を覚えた

ものの数秒で白い炎はヴァイオレットを飲み込んだ

そこからもがき苦しんで死んでいく姿を眺めるのがロックスのいつもの光景、だが目の前にいる敵は苦しむ姿を見せるどころか涼しい顔をしていた



『お前……なんで燃えないんだ?』

『なんでって言われてもね。こんなぬるい炎じゃ一生かかっても私を殺すことはできないよ』



ヴァイオレットが何を言ってるのかロックスには理解ができなかった

今までどんな敵でも焼き尽くしてきた自分の必殺技が全く効いていないなんてすぐに認めることなどできるはずもない

得体の知れない相手に思わず退くロックス、それを見てヴァイオレットは相手の底を確認した



『この後も(つか)えてるしそろそろ終わりにしよっか』



ご拝読いただきありがとうございます!

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隔日投稿で最新話を更新していますのでよろしければ次回もよろしくお願いします!

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