紙作り
翌日、ヴァイオレットは町の中を歩きながら様子を見て回った
『待てー!』
『こっちだよ!捕まえてみろー!』
楽しそうに追いかけっこをして町中を走り回る子供達、こうして大人達が外からの脅威を心配して監視する必要もなくなり自由に遊べるくらい町が発展したことを改めて感じるヴァイオレット
『うんうん、今日も平和だなぁ』
町を巡りながら昨日ガリアに話したことを思い返す
毎日働く事が当たり前のこの町に娯楽を増やしたいと考える
子供達が喜びそうな遊園地という案は規模が大きすぎる為今すぐ取りかかることはできない
『何か子供達でも遊べるような娯楽はないかなぁ。準備するのにそこまで手間がかからないような……』
頭を悩ませながら歩いているとふと作業をしている人が持っている石版が目に入ってきた
カラミティには紙がないので石版に木炭で作った鉛筆でメモを取ったりしている
だが石版だと持ち運びに不便だし大量に作ると場所を取るので使い勝手は良いとはいえなかった
その様子を見てヴァイオレットは王都で見たことのあるある物を思いついた
『そうだ、あれならいけるかも』
思い立ったら即行動、ヴァイオレットはノットに比較的手の空いていそうなノーム達を貸してもらい早速製作に取りかかった
それから一週間程度の期間を要してようやく希望の物を作り上げた
『出来た!これで紙の完成だよ!』
そこら辺に落ちている枝を拾い繊維を取り出す為に一度それらを蒸す
そして樹皮を剥き水に一日漬けておく。その漬けた樹皮から黒皮を取り除いていき乾かしていく
その間に紙漉き機を作っておく。樹皮が乾いたら灰と水で煮て濾した水でまた煮る
煮終わったら柔らかくなった繊維をほぐす。ほぐしたらその繊維と水、小麦粉と水を合わせて作った代用のりを混ぜて風魔法でミキサーの様な原理で更に細かくすることで紙の素が完成
あとは紙漉き機で紙の形にして乾燥させて完成だが紙漉き機の扱いが思ったよりも難しく、最初は中々均一にならず薄いところと厚いところがあって破れてしまったりと苦労したが、そこはノーム族の手先の器用さが発揮されなんとか紙の完成に至った
手間がかからないものと思ったが結局かなりの手間をかけることになってしまった
だがこれがあれば色々な事に活用することができる
『今まで石版で持ち運びに大変だったのもこれで大分楽になるでしょ。それ以外にも子供達の文字の読み書きの勉強にも使えるしちっちゃい子には絵本とかもいいかも』
『おー、よくこんな作り方を知っていましたねヴァイオレット様』
『あ、ま、まあねぇ……』
作り方は当然シオリが以前読んだ本の知識を教えてもらったからである
本当は特殊な液体を使うことによってより白い紙を作ることができるらしいが、流石にその作り方までは分からなかったらしい
『と、とにかくこれで作った遊びを紹介するよ!』
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