再び対話
エリザ達との再会を果たした翌日、ヴァイオレットは再びエリザ達の元へ向かった
共に帰る為ではない……決別する為会いに行く
学校にいる間だけの短い期間ではあったがあの時間はヴァイオレットにとって初めてのことばかりを体験した大切な時間
酷い言われ方はしたがせめてその事の感謝だけは伝え、これからはここで生きていくことを話すと決めた
『ヴァイオレット無理しないでね』
『大丈夫、昨日皆に元気をもらったから。それにもう自分の中で答えが決まってるからそれを伝えるだけだし』
『そっか。あ、そういえばヴァイオレットは気づいてたか分からないけど昨日あそこにプリローダが言ってたエルフもいたよね』
『あぁ……あの時はそれどころじゃなかったからなぁ。会った時にその人とも話してみよっか』
この大陸の他にエルフが存在するのかは定かではないが、プリローダが話していた限りではエリザ達と一緒にいたエルフは以前エルフの里に行った時にエルフから話を聞いた里を出たエルフなのだろう
だとすればここに辿り着くことができたのも頷ける
エリザ達とどういう関係かは分からないが帰ってきたというのなら温かく迎えよう
『それじゃあ引き続き案内をお願いしますミリアーナさん』
『はい』
『ん？ちょっと待って……こっちに何かが向かって来てる』
ミーシャが自分達に近づいてくる気配を察知し警戒を促す
昨日のような魔物の群れだと多勢に無勢なので逃げる準備もしていると、エリザ達の元にやってきたのは昨日まともに話すことができなかったヴァイオレットだった
『ヴァイオレットさん……？』
『やぁ……昨日ぶりだね……』
『ヴァイオレットさん……！また会えてよかったです』
『昨日は取り乱しちゃってごめんね……今日は皆とちゃんと話そうと思って来たんだ』
『……その様子だと一緒に帰る為に戻って来てくれたというわけじゃないみたいですね』
『うん、昨日も話したけど今私はここで他の仲間達と一緒に暮らしてるんだ。ここに来てからの事も説明するね』
それからヴァイオレットはここに来てから現在に至るまでをエリザ達に説明した
目が覚めたらいきなりこんな場所に飛ばされていて様々な種族を束ね今やこの大陸の長として君臨しているなんて突拍子のない話だが、ヴァイオレットが話している間エリザ達は真剣にその話を聞き、そして信じてくれた
『そんな事があったんですね……大変でしたねヴァイオレットさん』
『うん……色々あったけどさ、今はここで皆と楽しく暮らしてるんだ。だから皆と帰ることはもう考えてないんだ……』
『そう……ですか……ヴァイオレットさんの意志が固いのなら仕方がありませんね』
『わ、私も……ヴァイオレットさんがそうと決めたのなら……悲しいですけど……』
『……』
本心では戻って来てほしいと思っているエリザ達だが、話しているヴァイオレットの様子を見て揺るがない決心を感じたのでエリザ達は納得せざるを得なかった
『あ、でも私達ここに来る途中クラーケンに船を傷つけられてしまって直るまで暫く帰ることができないんです。なので数日の間だけでいいので滞在させてくれませんか？』
『分かった、じゃあその間は私達が暮らしている場所にいてよ。というかクラちゃんに会ったんだね』
『く、クラちゃん……？』
船の修理が終わるまでの間エリザ達に滞在を許可したヴァイオレットは、ルージュに皆を乗せてカラミティへと帰還した
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