協力者
灯台に住む男の家に入るとそこには普通の家ではなかった
家の中にはビンに液体を入れ保管された魔物の一部と思われる物が所狭しと置かれていて家というより研究室のようだった
『あのぉ』
『タッカだ』
『あ、タッカさん。私はエルザと言います。それでタッカさん、このビンに保管してあるのって……』
『魔物の一部だがそれがどうした』
『いえ、魔物の研究でもしてるのかなぁと』
『魔物の研究なんて興味がない。ここにあるのは俺が食ってきた魔物の一部だ。俺はただの魔食家だからな』
『魔食家?』
美食家のような名に聞いた覚えがないエルザ達は頭を傾げた
その反応を見てタッカが続ける
『魔食家は魔物を日常的に食べている者のことだ』
『魔物を日常的にって……ヴァイオレットもそんな生活してたみたいなこと前に話してたわね』
『ほぉ、その人物とは気が合いそうだな』
『私達はその方を探していてその為には船が必要なんです。どうか協力してくれないでしょうか』
『お前達さっきクラーケンがどうのとかはなしていたな。その事をもっと詳しく教えろ。話はそれからだ』
魔物を好んで食べているタッカはクラーケンにも興味があるようでエリザ達はクラーケンが現れた事を説明した
『なるほど、ここの海にも遂に来たんだな』
『お願いしますどうか協力してくれないでしょうか』
『いいだろう、俺が船を出してやろう』
『本当ですか!』
『あぁ、ただし条件がある。俺にクラーケンを食わせるんだ』
『く、クラーケンをですか?』
協力してくれるというならどんな条件でも飲むつもりではあったが、タッカの言う条件を飲むのはあまりにもリスクがあった
『それはつまり私達でクラーケンを倒せってこと?あなた実物を見たことがあってそんな事言ってるの?』
『昔海に出た時たまたま遭遇したことがあるからどんな奴か知ってるつもりだ。それにだれもクラーケンを倒せなんて言ってない。触手の一本でも切り落としてくれれば十分だ。クラーケンには傷を治す再生能力があるし一本くらいもらっても問題ないだろ』
『ですがクラーケンに攻撃をするとなると完全に敵対する形になってしまいます。それはあまりにもリスクがあるのでは……』
『無理ならこの話はなかった事になるだけだ。さぁ帰った帰った』
ミーシャとアレクが否定的な意見を述べるとタッカはエリザ達を家から出そうとする
しかしそこにエリザが待ったをかける
『待って下さい……その話受けます』
『え、エルザさん。本気ですか?』
『これを断ったらいつ辿り着けるかわかりませんし。それに触手一本だけならどうにかなるかもしれません』
『決まりだな、なら俺は船を出す準備をする。明日には出航できるからそれまでにそっちも準備しておけ』
『分かりました』
エリザ達が立てていた作戦はあくまでクラーケンを避けて突破する作戦、早急に準備を行うと共に新たな作戦を考え直さなくてはいけなくなった
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