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竜皇女と呼ばれた娘  作者: Aoi
開拓編
169/342

海の監視者として

これはエリザ達がクラーケンと遭遇するよりも前の話

各地帯の視察を終えたヴァイオレットはカラミティへと帰ってきた



『ふぅ、流石にずっと飛んでたから少し疲れちゃったな』

『お疲れ様ルージュ、休んでていいよ』



小さくなったルージュを頭に乗せ町に入ろうとすると二フリートが飛んでくるのが見えた



『気配がすると思ったら帰ってきていたか主よ』

『ただいま……ってなんでどうしたの?体びちゃびちゃだけど』

『あぁ、ちょっと獲物を取りに行っていたんだ。見に行くか?今回は大物だぞ』



得意気にそう話す二フリート。ちょうどお腹も減っていて断る理由もなかったのでヴァイオレットは二フリートに乗って獲物がある場所へと向かった

目的の場所に向かっていると二フリートが普段獲物を獲ってくる方角とは違う方に飛んでいることに気がついた



『ねぇどこに向かってるの?いつもの場所じゃないの?お腹ペコペコなんだけど』

『今回はいつもとは違う獲物を狙ったからな』

『体が濡れてたのってもしかしてそのせい?』

『まぁ行けば分かる』



二フリートが勿体ぶるということは獲った獲物は相当なものだだろう

どんな獲物かと楽しみにしているとやがて視界の先に広大な湖のような場所が見えてくる



『湖……じゃないね。なんだろうこの匂いって』

『なんだ海は初めてか主よ』

『海……あれが海なんだ』



シオリの記憶の中のテレビというもので見たことはあったが実際にこの目にするのは初めて

川や湖とは比べ物にならない一面に広がる海を見てヴァイオレットは目を丸くした



『凄いなぁ、この海の向こうに私がいた大陸があるんだよね。流石にここからじゃ見えないか』

『ほれ、こっちだ主』



さざ波の音を聞きながら砂浜を歩いていくと暫くして山が見えてきた

しかし近づくにつれてそれが山でないことに気がつくヴァイオレット、それが二フリートが言っていた獲物だった



『うわっ!何このでっかい生き物!』

『こいつはクラーケンだ。どうだ、食い甲斐のある獲物だろう?』

『あるけど……よくこんなの倒せたね』

『これしきの相手どうってことない。さぁ新鮮なうちに少し食おう』



これだけの物量を全部持っていくには切り分けて何回も往復しなくてはならないので相当骨が折れそうだ

あとで他の竜達を呼んで手分けして運ぶしかないなと考えつつクラーケンの触手部分に手を出そうとしたその時、巨体が微かに動いた



『あれ、まだ生きてるみたいだよ』

『こいつまだ息があったのかしぶとい奴め。待っていろ主、今すぐ止めを……』



二フリートがそう言うとクラーケンは目を潤ませて必死に命乞いをし始めた

その姿を見ていたらなんだか食べる気が失せてしまったヴァイオレットはクラーケンを逃がすことを提案した



『ねぇなんだか可哀想だから逃がしてあげない?この子持ってくのも大変だしさ』

『主がそう言うのなら従うが……そうだ、おい貴様命を救ってやる代わりにここにいる我が主に忠誠を尽くせ。貴様が海の見張りをしてここに来ようとする輩がいたら追い返すんだ。分かったか』

『そんな事言っても分かんないんじゃ……』



そう思ったが二フリートの言葉を理解したのかクラーケンは大きな頭を縦に振って頷くような動作をしてヴァイオレットに忠誠の意を示した



『言葉分かるんだ……えっとじゃあよろしくね。たまに遊びついでに様子見に来るから』



ヴァイオレットの言葉を受けてクラーケンは深く頷き傷ついた体で海へと帰っていった

クラーケンは再生能力があるらしくあれ位の傷ならすぐ治るそうなので心配はないらしい

ただご飯を食べに来ただけのヴァイオレットだったが、計らずともまた強力な配下を従えることとなってしまった



ご拝読いただきありがとうございます!

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隔日投稿で最新話を更新していますのでよろしければ次回もよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
久々に見ましたが、良い作品です!また楽しみにしています!
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