構想
大陸の王として君臨した後、ヴァイオレットは森林地帯以外の場所を転々とし同様に宣言して回っていた
そして大陸を一周グルッと回って分かったが、他の地帯はヴァイオレットが暮らしている場所に比べて文明の発展が遅れていた
その問題を解決しようとヴァイオレットはある物の製作に取りかかることにした
『ほぉ、こりゃなんですじゃヴァイオレット様』
『えっとこれは列車?っていうやつで線路っていう専用の道を作ってあげて高速で走らせる乗り物なんだけど。これを作ることってできるかな?』
ヴァイオレットもよくは知らない列車という乗り物、この案を出してきたのはシオリである
前世の記憶でもシオリが電車という乗り物に乗っているのを何度か見た事はあったが、どういう原理で走っているのかサッパリ分からなかった
シオリの世界では電気や蒸気といったもので列車を動かしているそうだが、大きい乗り物を雷の魔法で動かすには一定魔力の供給が足りないし蒸気には石炭というものが必要になり煙が大量に出てここの綺麗な空気が汚れてしまうからアウト
そこで考えたのが魔石の代用、魔物から得た魔石を使って動かすことができれば環境にも影響しない。列車や線路に使う材料は森林地帯と火山地帯から搔き集めて作ればなんとかなる
問題はシオリ自身列車の構造があやふやな事。更にその情報を聞いた元でヴァイオレットが書き起こした設計図なので、完成するかどうかは製作側に頼ることになってしまう
ノーム族のリーダーを務めるノットは、ヴァイオレットが描いた設計図を暫く眺めていた
『ふむふむなるほど……こりゃあ面白いのぉ。よし!いっちょやってみるか!』
『ありがとう!何か分からないことがあったら聞いてね』
見たことのない乗り物に好奇心がくすぐられたのかノットはノリノリでヴァイオレットの提案に乗ってくれた
とはいえこれは大陸全土を行き来できるようにするの為相当な規模となる。試行錯誤を重ねて実際に使い物になるまでにはかなりの期間を要することになるだろうが、長い目で見ていくしかない
『じゃあ私は他の様子を見てくるね』
『あぁ待ってくだされヴァイオレット様。実はヴァイオレット様に見せたい物がありまして。ちょっと来てもらえますかな』
『私に見せたい物?』
ヴァイオレットに見せたい物があると言ってノットは奥の部屋へと案内する
そこにあったのはノットが作っている武器や防具等がしまわれている場所だった
『私に見せたい物って何?』
『ヴァイオレット様に見せたい物とはこれのことですじゃ』
一つだけ大事そうに保管されていた箱を取り出すノット。その中から現れたのは紅く輝く装備だった
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