海辺に到着
ヴァイオレットが大陸の王として君臨した一方で、エリザ達は王都を出てから暫く経ち海が見える場所にやって来ていた
『ふぅ……ようやくここまで来れたわね』
『こ、ここまで来るのに結構かかっちゃいましたね……』
馬車移動していたエリザ達だったが、序盤に油断してお尻を酷く痛め町で立ち往生てしまったことで想定よりも海に到着するのに時間を要してしまっていた
『ミリアーナさん、ここからは海を渡るのですか?』
『はい、かなりの距離になると思うので筏などではかなり厳しいと思います』
『となると船が必要になりますね……手分けして船を出してくれる方を探しましょうか』
エリザ達は散り散りになり町の漁港などで船に乗せてもらえるか聞きに行った
王女という身分を明かせば簡単に船を出してもらえるかもしれないが、今回は権力を行使することはできない
エリザは港で作業している漁師らしき人物に声をかけてみた
『お仕事中にすみません、どこかで船を出してもらえる場所ってありませんか?』
『船を?あんた見たところ随分若そうだが船で何処に行くつもりだ?』
『この辺りに行きたいんですが』
そう言いながら漁師に地図を見せて目的地の方向を指すと、漁師の顔つきがみるみると厳しいものへと変わっていった
『あんた、本当にそこに行くつもりなのか?』
『はい』
『悪いことは言わねぇ。そこには近づかねぇ方がいいぞ。なんてったってそこは人間が一人も住んでない未開の地があるそうだぞ』
『未開の地……』
聞いたことはあった。遥か海の先に人間以外の様々な種族の亜人がいる大陸があると
誰も足を踏み込んだことがない為地図にはその全容は記されていないが、友人であるヴァイオレットがその大陸にいるというのなら放っておくことはできなかった
『それでも行きたいんです。なので船を出してくれそうな方を教えてはくれないでしょうか』
『教えるのは構わないが多分誰も話を聞いてくれないと思うぞ。それ以前に最近沿岸付近に魔物が住み着いちまって漁をするのも一苦労だから皆それどころじゃないんだ』
『魔物が?』
『あぁ小型の魚の魔物なんだが肉食でな、普段獲ってる魚達が減って参ってるんだ。このまま放っておいたらいずれ小型の魚を狙って大型の魔物も寄ってくるかもしれねぇからその対処に忙しいんだ。だから今そんな場所まで船を出す奴なんていないだろうな』
その後男性から数名紹介をされ頼みに行くも、言われた通り皆それどころではないと門前払いされてしまった。それは他の者も同じだった
『そうですか、やはり船は出してもらえないようですね』
『皆魔物の件で断っていましたが恐らくあの付近には近づきたくないというのが本音でしょうね』
『せ、せめて見える場所まで……行けたらいいんですけど……』
ここまで来て足止めをくらう羽目になってしまった
どうすれば船を出してもらえるかと頭を悩ませていると、エリザが沈黙を破った
『皆さん、まずは漁師さん達を悩ませている魔物を倒しましょう』
『え?でもそんな事してる暇は……』
『確かにヴァイオレットさんを探すのも大事です……けど目の前で困っている国の民を助けるのも王族の務めなのです』
『王女様……』
『まぁどっち道船を出してもらえないんじゃどうにもできないしね。少しでも恩を売っておけばもしかしたら船をだしてくれるかもしれないし私は賛成よエルザ』
『ありがとうございますミーシャさん』
他の三人もエリザの意見に賛同し、エリザ達は近海に潜む魔物達の対処に努めた
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