王の誕生
族長達の申し入れを受けた翌日、ヴァイオレットは町にいる仲間達を広場に集めた
『なんだなんだ?何が始まるんだ?』
『さぁ?でもわざわざ全員を集めるということは何か大事な報告でもあるんじゃないか?』
作業を中断させてまで集めるなんて珍しいことをしたお陰で周りは何事かとザワついていた
そこにヴァイオレットが登壇していく。それを見てザワついていた周囲が一瞬で静まり返る
『えー皆仕事中にごめんね。今日集まってもらったのはある報告があるからです。昨日各地帯を束ねている族長達がやってきて私の仲間になると言ってきたの。私はその申し入れを受けようと思います』
言葉を聞き逃さないよう集中して聞き入る者達の前でヴァイオレットは続ける
『それでね、皆がよければなんだけど私が大陸の主になろうと思ってるんだけど……どうかな?』
『ヴァイオレット様が……この大陸の王になるだって?』
流石にこれだけ重大な発表だったとは思っていなかった者達がザワつきだす
いきなりのことでどうすればいいか戸惑っていると、子供達がヴァイオレットの足元までやってきた
『ヴァイオレット様王様になるのー?』
『うんそうだよ。どうかな?』
『すっごーい!かっこいい!』
目をキラキラと輝かせ羨望の眼差しを向けてくる子供達
それを見ていた大人達もつられて声を上げる
『俺も賛成だー!』
『私もです!』
『ヴァイオレット様ー!』
一人が声を上げるとそれが連鎖していき、気づけば全員がヴァイオレットの名を叫んでいた
これで答えは決まった。あとは宣誓をするだけだ
『皆ありがとう!ヴァイオレット・カラミティアはこのユーレシカ大陸を統べる王となり更なる繁栄に努めることをここに宣言する!』
『うおおおお!!ヴァイオレット様ー!』
『ヴァイオレット様バンザーイ!』
町の皆に無事認められ安心しながらヴァイオレットは降壇、皆から見えなくなったところでようやく緊張が解ける
『はぁ~終わったぁ』
『お疲れ様でしたヴァイオレット様』
『宣言するのは私から言ったことだからいいんだけどさ、こんな格好する必要あったのかな?』
昨日他の者より一足早くガリアに今回の件を伝えたところ、それなら相応しい格好でと徹夜して礼装を見繕ってくれていた
『何を仰いますか。これから一国の主として君臨するのですからそれ位の格好はしませんと』
『そういうものかなぁ。まぁいいやガリア、改めてよろしくね』
『我等はヴァイオレット様に救ってもらった命。どこまでもついて行きます』
ガリアが去った後、ヴァイオレットはシオリに話しかけた
『ありがとうねシオリ、宣誓の言葉考えてくれて』
(別に大したことしてないわ。それより皆の期待を裏切らないことね)
『うん、私頑張るよ!』
こうして皆に認められ正式に王となったヴァイオレットは新たな決意を胸に奮起し大陸の発展に努めた
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