三体の竜
突如ヴァイオレットの元にやって来た二フリートの子供達、呼ばれて来た三体の竜は二フリートのまえにやって来ると挨拶を交わした
『久しいな親父殿』
『こうして顔を合わせるのは何百年ぶりかしら』
『まさか父上から呼び出されるなんて思いもしなかったですよ』
『うむ、わざわざ呼び出して済まなかったなお前達』
この森にずっといたはずの二フリートがどうやってそれぞれ別の場所にいた竜達を呼ぶことができたのか。竜は血が繋がっている者同士であれば遠く離れた場所にいても思念を伝達することができるらしい
イグニス達と血の繋がっていないヴァイオレットは残念ながらそれはできなかった
『それにしても二フリートって子供いたんだね』
『当然だ、どれだけの時を生きていると思っている。子孫を残さねば生物失格だからな』
生物失格……そういえば父イグニスからは子供の話は聞かなかったなと考えるヴァイオレット
そもそも父の性格では番となる相手が現れないだろう。可能性があるとしたらバシリッサなんだろうが二人の関係性からしてそれは想像できなかった
『ところでどうして急に子供達なんか呼んだの?』
『あぁ実はな主よ、この者達を我同様主の下につかせようと思ってな』
『へぇ……えっ!?なにそれ聞いてないよ!』
『たった今話したからな』
二フリートが自分の子供を呼んだのは主であるヴァイオレットに仕えさせよう為だった
そんな大事な話を勝手に進められても色々準備が必要なのだから困ってしまう
しかし父親に言われたからといってそんな簡単に仲間になってもらえるんだろうか?
そう思っていると三体の竜のうち雌の竜がこちらに近寄ってきた
『えっとあなたは……』
『エイスよ』
『私はヴァイオレット、よろしくねエイス。あなた達は仲間になりに来てくれたってことでいいの?』
『そうですわね……ここに来るまではどうするかは決めかねていましたが私は構いませんわよ』
『えっ、いいの?』
『えぇ、私相手の力量を測るの得意なんですの』
なんかあっさりと仲間になることが決まってしまった……
そしてエイスに続いてもう一体賢そうな竜も前に出てきた
『僕の名前はジャニアス、僕も君についていくよ。よろしくねヴァイオレット』
『こちらこそ、仲間になってくれて嬉しいよ』
『まぁ僕は他の二人に比べたら全然弱っちいんだけどね』
竜は皆気が強いイメージを持っていたがこのジャニアスは随分と謙虚な性格をしているようだ
そして残る一体はというと、初めて会った時からずっとヴァイオレットの方を威圧している。明らかに友好的でないのは確かだ
『えーっと……そこの……』
『俺は認めんぞ!!』
ヴァイオレットが話し出したところを遮って怒声を浴びせてくる
これは面倒な展開になりそうだ……
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