王女とエルフ
王都に帰還してきたユリウス達は完全に意気消沈していた。結局ヴァイオレットの手がかりを掴むことも出来ず無駄に兵士を失っただけ
この事は瞬く間に城内にいる者達に広まり周囲からは陰で笑われ父親には溜息を吐かれる始末
ユリウスはこうなったのも全てエルフのせいだと責任をなすりつけ怒りをぶつけた
『貴様のせいで俺の評価が下がってしまったじゃないか!この役立たずが!』
『申し訳ございません!お許し下さい!』
高額で競り落とした奴隷、普段は傷をつけないようにしていたが今回ばかりは我慢ができなかった
『いや、これはお仕置きが必要だな。服を脱げ』
『えっ……』
『いいから服を脱げ!』
『は、はい……』
怒るユリウスの命令に逆らえば何をされるか分からないという恐怖からエルフは従うしかなくその場で服を全て脱いだ
そこにユリウスが暖炉に入れてあった火かき棒を掴み先端をエルフの眼前へと持っていった
『これで今からお前の体を焼く』
『ヒッ……!』
『これは罰だ。貴様がこの俺の顔に泥を塗ったな』
高温に熱された棒が自分の体に近づけてくるユリウス。エルフはそれから必死に逃げるがやがて部屋の角へと追い込まれる
逃げ場が無いと分かるとエルフはへたりこみ失禁
観念したかと下卑た笑みを浮かべエルフなや近づこうとした瞬間、何者かが部屋の扉を開けて入ってきた
『あら、ユリウスじゃないですか』
『誰かと思えば……姉上じゃないですか、お久しぶりですね。お元気そうで何よりです』
『貴方も変わりないようで。そんなところで何をしていたのですか?』
『少しばかり遊んでいただけですよ』
『そう、悪いのだけど少し彼女と二人きりでお話させてくれないかしら?』
『このエルフとですか?』
罰の執行を途中で止められた挙句自分の所有物を貸せと言ってくる姉に苛立ちを覚えたユリウスだったが、ただでさえ評価が下がってしまったのにここで争い事を起こしては更に評価が下がる
そう思ったユリウスは不満はあったもののエリザにエルフを貸すことにした
『あまり時間はかけないで下さいね。これは俺のですから』
『えぇ、ありがとう』
それだけ言い残してユリウスは部屋をあとにした
『あ、あの……助けてくれてありがとうございました……』
『気にしないで下さい。あなたに用があったのは本当ですから』
『な、なんでしょうか』
『あなたがユリウスに探せと命じられた人物……ヴァイオレットさんというのだけれど私はその方とお友達だったんです。けどあらぬ疑いをかけられているようで逃げているみたいなんです。そこでお願いなのですが私をヴァイオレットさんのところまで案内して欲しいんです。できませんか?』
ずっとヴァイオレットが犯人だということに引っかかっていた
だがその事を誰に話しても聞き入れてくれようとはしなかったのでエリザは自分で確かめることにしたのだ
『えっと、姫様はその方とご友人……ということでお間違いないですか?』
『はい』
『それでしたらその方の元にお連れすることが出来るかもしれません』
『本当ですか!是非お願いします!あっ、その為に色々と準備をしなくてはならないので準備が出来次第またお声をかけさせて頂きますね。ユリウスには私から言っておきますのでご安心を』
『分かりました』
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