人狼族の加入
『……ん?ここは?』
『あっ起きた。おーい、ヴァイオレットが目を覚ましたよー』
ヴァイオレットが目を覚ますとそこは皆がいる村だった
魔力が底を尽きて気を失った後どうやらルージュがここまで運んできてくれたようだ
時刻は夕方、ここに戻ってくるまでの時間を考えると気も失っていたのはせいぜい数時間程度かの思っていたがルージュが言うにはどうやら丸一日寝ていたらしい
『ヴァイオレット様、ご無事で何よりでした』
『ヴァイオレット様!』
『ヴァイオレット様起きた』
『おー……なんか皆凄い盛り上がってるね。でもごめんね、私まだ体が怠くてちょっと動けないかも』
『これは失礼しました。みなヴァイオレット様のお体に障るからなるべく静かに』
ヴァイオレットが目覚めたことを知らされた仲間が大喜びで集まってきたが、それに応えるだけの元気が今のヴァイオレットには残っていなかった
魔力が空っぽになるまで戦うことなんてこれまでなかったので自分の体が鉛のように重たくなる感覚をヴァイオレットは初めて味わった
自分が気を失っている間のことを寝ながらガリアや人狼族の長から聞かせてもらったが、二フリートとの戦いが終わった後人狼族の長は仲間達の元へと向かい事のあらましを説明し仲間を解放、その後この村に戻ってきて私か目覚めるの待っていたらしい
『皆無事でよかったね。色々あったけどこれで一件落着ってことだ』
『ヴァイオレット様、頼みてぇ儀があるんだが聞いてくれねぇだろうか』
『なに?急にそんな畏まった態度で』
『俺らをあんた達の末席に加えてはくれねぇでしょうか』
『え?』
『今回の件であんたには返しれきれない恩ができた。それにあの竜との戦い……あれを見てヴァイオレット様に忠誠を誓うに値する人物だと判断した』
『えぇ、大袈裟だよ』
『この事は俺の仲間にも話して了承を得ている。だからどうか頼んます』
人狼族をまるごと吸収するということは一気に千人以上の規模を抱えるということになる
流石に荷が重いような気もしたが人狼族長の目はもう覚悟が決まっている目をしていた
これは何を言ったところで引き下がらないだろうと感じたヴァイオレットはその申し入れを受けることにした
『分かったよ、これからよろしくね』
『ありがとうございます』
『でも私は皆を纏めるとかは苦手だから人狼族の皆はあなたがこれまで通り纏めてあげてね。そっちの方がいいだろうし』
『了解した。それともう一つ頼みがあるんだが……俺にも名前をくれねぇか?』
自分で好きな名前をつければいいのではと思ったが、名前の無かった他の族長も自分が名前をつけたんだから公平につけてあげるべきか
といっても今は頭が回る状態じゃないからすぐには思い浮かばなかった
『うーん……ガオウなんてどうかな。牙の王でガオウ、みたいな感じで』
『ガオウ……その名前有難く頂こう』
パッと思いついた名前を適当にあげてみたが気に入ってくれたようだ
名前が決まったところでまだ怠さが残っているヴァイオレットはもうひと眠りすることにした
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