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竜皇女と呼ばれた娘  作者: Aoi
魔法学校編
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お仕置き

『なんだお前?試験中だぞ』

『すみませーん、でもその子もう戦えないみたいだし次は私の相手をお願いしたいなぁって。ほら、後もつかえてるし』

『……まぁいいだろう。動かない奴を相手にしていてもつまらないしな』



そう言うとロータスは使っていた魔法を中断

倒れている女性には退場してもらう

かなりボロボロだったが他の受験者の肩を借りることでどうにか歩けることができるようだった



『要領は今見ていた通りだ。そっちが先手で攻撃してきていいぞ』

『んー……考えたんだけどやっぱりそっちが先に攻撃してきていいよ』

『なに?』

『だって私が先に攻撃しちゃったらすぐ終わっちゃうもん』



ヴァイオレットは煽るつもりで言ったわけではなくただ正直な気持ちを述べたまでだが、その言葉を聞いたロータスの顔は表情こそ笑ってはいたが目は笑っていなかった



『つまり俺がお前に負けるって言いたいのか?おもしれぇ、威勢のいい奴は嫌いじゃないぜ。そっちの方が泣かせ甲斐があるってもんだ。その提案乗ってやるよ』

『決まりだね』



ヴァイオレットの案に乗り先攻はロータスに

開始位置に立つと既にヴァイオレットに狙いを定めていた



『おいあいつ、あのロータスに自分から喧嘩売りにいったぞ』

『マジかよ、大丈夫か?』



他の受験者達がまたザワつきだしたが、ヴァイオレットと相対しているロータスはどう虐めてやるかに夢中で周りの声など聞こえていなかった



『それじゃあいくぜ、サンドニードル!』



ロータスはまず初手に先程女性を苦しめた砂の針による攻撃を繰り出してきた

だが威力はさっきのとは比べ物にならない

無数の針がヴァイオレット目掛けて降りかかってくる



『その攻撃はさっき見たよ。そんなんじゃ何発撃ったって私には効かないよ』



ヴァイオレットはそう言うとその場から一歩も動くことなく全ての攻撃を敢えて受けてみせた

ロータスの攻撃が全弾ヴァイオレットに命中、だが体には傷どころか服にすら直撃した痕跡が見当たらなかった



『まさかこれで終わりってわけじゃないよね?』

『多少はやるようだな。だが本場はこれからだ、サンドスネイク!』

『おぉ?』



砂が蛇の姿に形を変えてヴァイオレットの体に巻きついてくる

攻撃というより動きを封じる目的のようだ

ロータスは更に魔法を唱える



『サンド・プリズン。サンドアビス』



拘束したヴァイオレットを砂の牢獄に閉じ込め出られなくしたところで足元を底無しの沼のようにされ沈められていく

魔力が込められている砂はもがけばもがけばもがく程飲み込もうとしてくる

さっきのような正面切ってではなく絡め手による攻撃

おおよそ飲み込まれた受験生の苦しむ姿を見て楽しみたいのだろうが、この程度の拘束ヴァイオレットにとっては屁でもない

ヴァイオレットは砂の蛇に絡まれている状態で自分の足元に向かって拳を強く叩きつけた

それによって発生した風圧によって周囲の砂が全て吹き飛び、拘束から解放された



『何?どうやって抜け出せた?』

『普通に殴って?』

『ふざけた事を言いやがって。だが偉そうな口を叩くだけはあるようだな。だがお遊びもこれまでだ。俺を怒らせた事後悔させてやるよ』



今まで使っていた魔法は受験者で遊ぶ為のもの

それではヴァイオレットに通用しないと判断しロータスは本気を出すことに

ロータスの口がどんどん膨れ上がっていく

何をしてくるのかとその様子を見ていると、ロータスがおもいもよらない魔法の名を唱えた



『焼き尽くせ!竜の息吹!』

『竜の息吹……?』



ロータスの口から吹き出てくる炎がヴァイオレットを襲う

奇しくもその魔法をここで目にするとは思っていなかったヴァイオレットは最初こそ身構えたものの、直にくらってそれは杞憂だったと知る



『どうだ!これが俺様の本気だ!この炎の中で土下座して謝れば許してやってもいいぞ』

『竜の息吹っていうからどんなものかと思ったら……こんなの本物の息吹に失礼だね』

『なっ!?』



ロータスの魔法は確かに直撃していたが、炎の中から出てきたヴァイオレットには火傷の跡もついていなかった



『馬鹿な!竜の息吹は上級魔法なんだぞ!無傷でいられるはずがない!』

『あんなの子ドラゴンのくしゃみ程度の威力しかないよ。竜の息吹っていうならこれ位出来るようにならないと』



ロータスに向かってそう告げた後、ヴァイオレットはロータスが使ったものと同じ竜の息吹を使ってみせた

だがヴァイオレットが出した竜の息吹はロータスの何十倍もの威力で、それと比べたら先程の息吹がいかにお粗末だったかが見て取れる

ロータスに直撃させることも出来たが流石に試験官を殺めたりしたら入学どころの話ではなくなってしまうので、器用に頭髪部分だけ綺麗焼き尽くしてやった



『どう?これが竜の息吹だよ。これでもまだまだお父さんには程遠いんだけどね』



ロータスにそう言い放ったヴァイオレットだが、倒れているロータスは返事どころかピクリとも動かない



『あ、あれ?もしかして死んじゃったわけじゃないよね?当ててないのにそんなわけないよね?おーい』

『おい!何事だ!?』



そこで他の試験官が駆け寄ってきて強制的に模擬試合は終了させられた

ロータスはというとただ気絶しているだけだったようで担架で運ばれていった

その際股の辺りだけ異様に湿っていたのを多くものに見られ(のち)に「お漏らし坊主」と陰で呼ばれるようになるが、そのあだ名を本人が知るのは当分先のことである



ご拝読いただきありがとうございます!

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毎日更新していますのでよろしければ次回もよろしくお願いします!

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