ノーム族の頼み
村にやってきた小柄な人間?達を迎え入れ、アレスやディアナも交えいつもの話し合いで使用している部屋に代表数名を通すと、彼らはこちらが事情を聞こうとするよりも早く捲し立ててきた
必死は伝わってくるが例の如く言葉が理解できないので、ガリアに通訳してもらうにも一度落ち着かせようとするも彼らの勢いは止まらない
これでは埒が明かないとヴァイオレットが少し大きな声で制止しようとしたその時、アレスが拳を大きく振り上げ木で作られたテーブルに思い切り叩きつけた
それによって部屋の中は一瞬で静寂に包まれた
『ギャーギャー喚くんじゃねぇ。話が進まねぇからこっちが聞いたことにだけ答えろ』
言葉の意味は相手に届いていないだろうが、自分達よりも数倍は大きいアレスの威圧にそれまで一方的に話していた彼らは怯えた表情で大人しくなってくれた
こちらがようやく話せる状態になったところでヴァイオレットは質問を投げかける
『えっとまずはあなた達が何者なのか教えてくれるかな』
ヴァイオレットが質問した内容をガリアが通訳し、少ししてその答えが返ってくる
『この者達は小人族だそうです。我々の間ではノーム族と呼んでいたりしますな。この森にある洞窟で生活をしていたみたいです』
『ノーム族さんね。確か住んでいた場所を追いやられたって話だったよね。この村に来た目的は?』
『ふむふむ……この村の存在は少し前から知っていたようで他種族が共に生活しているここなら自分達も仲間に加えてもらえて助けてくれるのではと思い村に向かっていたところで鬼人達と遭遇したとのことらしいです』
『なるほど。仲間に加えるかどうかは一旦置いておくとして、あなた達を襲ってきた相手っていうのは?』
『なになに……ふむ、ノーム族を襲ってきたのは人狼族だそうです』
『人狼族……狼人間ってことかな』
聞くところによると人狼族はこの森林地帯の中では最も数が多い部族らしい
人狼族の縄張りはここより大分離れているようで、こんな場所まで来ることは滅多にないんだそうだ
『人狼族は脚も速く非常に鼻が利くのでノーム族がここに逃げてきたことがバレるのも時間の問題でしょう』
『そんな相手からよく逃げてこれたね』
『ふむふむ……洞窟の中に自分達しか通れない場所があるようでそこから全員脱出してきたみたいです』
『そっか、皆無事でよかったね。ということはノーム族さん達を仲間にするしないに関係なくこっちに向かって来てる可能性があるならどの道首を突っ込むことになりそうだね……分かった、とりあえずその人狼族の件はなんとかするよ』
助けてあげることをガリアがノーム達に伝えると、ノーム達はヴァイオレットに向かって頭を垂れた
正直巻き添えを受けた気分ではあるが、彼らはどう見ても強そうには見えない
きっと逃げるのもやっとで他に頼る当てもなかったのだろう
そう思うと彼らを責め立てることはできなかった
『それにしてもまた部族間の争いってこの森は前からこんなしょっちゅう争ったりしてるの?』
『いえ、前はこのような事はなかったんですが……頻繁に起こるようになったのはここ最近です』
リザードマンの件から始まりこの大陸に来てからというもの争いごとに巻き込まれてばかり
もしそれを引き起こしている何かがあるというのなら原因を探る必要がありそうだ
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