変化していく環境
村が新しくなり鬼人族を迎え入れてからというもの、狩りの担当はすっかり彼らに任せっきりとなってしまった
ヴァイオレット達よりずっと前からこの森で狩りを行っている彼らの方がどこにどんな魔物がいるかなどを熟知している為、闇雲に探し回るヴァイオレットより効率良く獲物を狩れるので一任することとなった
『こちら今日の分です』
『お疲れ様アレス』
アレスというのは鬼人族族長の名前。何かあった時各族長位には名前があった方がいいということでヴァイオレットが命名するに至った
ナーガ族族長は女性が務めているのでディアナと名付けた
他の人達にも名前をつけたいところだったが、百以上いる者達の名前を考えるなんてヴァイオレットには出来ないのでその辺りは各族長に任せることに
そして村の拡大を終えやることが無くなったヴァイオレットはというと、現在川から獲ってきた魚を堀に放流して育てる計画を始めていた
『とりあえず最初だしこれだけ獲れれば十分かな。たくさん増えてくれるといいなぁ』
魚を捕まえるのにはリザードマン達が普段から使用していた木に絡まっていた蔦を編みネット状にしたものを使用した
小さな魚が逃げられる位の隙間を敢えて作ってあるように見えるのは恐らく獲りすぎて川に魚がいなくなってしまわないようにと考えられたリザードマン達の工夫なのだろう
そんな蔦網でコツコツと運び数十匹程を堀へと放流。ヴァイオレットやルージュ、鬼人族達以外の者達は食べ慣れている魚や木の実を口にしている時の方が幸せそうにしているので、この魚達が順調に増えていっていつでも好きなだけ食べることができるようになれば言うことなしだろう
事前に果物の皮を乾燥させ木の棒で細かくしたものを餌として魚達に撒いていると、リザードマンとナーガの子供達が駆け寄ってきた
『ヴァイオレット様、ヴァイオレット様』
『ヴァイオレット様~』
子供達が自分の名前を連呼してくる
最近ガリアが仲間達に人族の言葉を教え始めたようでその練習の一環として名前を教えたらしい
毎回ガリアを介して会話するとなるとガリアが大変なので助かるしそれは一向に構わないが、何故か名前を呼んでくる者達全員様付けをしてくるのでなんだかむず痒くて少し照れくさかった
『ヴァイオレット様ちょくちょう、よーでる』
『ちょくちょうよーでる……?あぁ、もしかして族長が呼んでるかな?』
舌足らずな感じで一生懸命喋っている姿は微笑ましかった
ヴァイオレットは呼びに来てくれた子供達を手を繋ぎながらガリアが待つ場所へと向かう
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