頼み事
ヴァイオレットはリザードマンから色々と話を聞かせてもらった
この年老いたリザードマンはガリアという名前で。ここでは名前をつける習慣がなく他のリザードマンには名前がないそうだが、人間と生活していたことがあるガリア名前がないと不便だからとつけてもらったという
ユーレシカ大陸というのは広大な森林地帯や砂漠地帯、火山地帯に寒冷地帯と様々な環境が存在する大陸でガリア達リザードマンの他にも多種多様な種族が存在しているらしい
ただいるのは亜人や獣人といった種族のみで人族はこの大陸では見たことがないのだとか
それぞれが適した環境で生活をしており、ガリア達リザードマンは湿地がある場所を好み森林地帯で暮らしているそうだ
『まだ頭の整理が追いつかないんだけどなんとなくは分かった……かな?でも肝心の私達をここに連れてきた理由はまだ聞かされてないよ。人がいない大陸っていうなら人である私があんな所にいたら普通怪しいと思うんじゃないの?』
『数日前、ある者、夢で貴方達見た』
『夢で?どういうこと?』
『その者、夢で少し先の未来、見ることできる。竜と人、その者達助ける、そうすれば我等、とても助かる』
何やらその夢とやらで自分達を助けることでリザードマン達にとって利益をもたらすのだそうだが、何か困っていることでもあるのだろうか
『私達に何かして欲しいことがあるってこた?』
『実は、この村今、危ない』
『危ないって?』
『最近、この村の近く、他種族の者達、現れた。その者達、我等の村襲う。そのせいで村の者、減ってる』
ガリアが言うにはリザードマン達を襲っているという他種族というのはナーガという上半身が人型で下半身が蛇の姿をした者達で、そのナーガ達が近くに居を構えたんだそう
リザードマンが主に食すのは木の実や魚、ナーガも同じようで豊富に採れる狩場を奪われてしまったらしい
リザードマンの中に痩せ細った者がいたのもそれで合点がいった
『我等、狩りできても戦い方、知らない。このままでは、皆死んでく』
『うーん……』
『勿論礼する。我等助けてくれれば望む物、なんでも与える』
『望む物……』
今ヴァイオレット達はお尋ね者、仮にこの大陸を出てあそこに戻るにしたってそれなりの準備が必要になるだろう
それよりも追われる心配のないここを拠点として生活の基盤を築くのも悪くないかもしれない
ヴァイオレットは暫し思案した後、ガリア達リザードマンの頼み事を聞くことにした
『よし分かった、そのナーガ達をどうにかしてあげる。その代わり上手くいったら暫くここで生活させて』
『分かった。よろしく、頼む』
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