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人魔巷説 とある港街での事ーリッチー

 俺は旅の冒険者だ。


 俺が海岸沿いの通りにあるカフェで、昼食を済ませた時だ。

 海岸に目をやると、浜辺近くの小さな小島が目に留まった。


 その小島はほんの数十m程度の大きさで岩しかないが、その真ん中にこれ見よがしにレンガを組み上げた倉庫のような建物と、その壁いっぱいの大きな赤茶こけた金属の扉。


「あぁ、あの"門"が気になりますか?」


 俺がしきりに小島を見ていたせいか、カフェの女給が話しかけて来た。


「門だって?」


「えぇ、あそこは元は旧時代の遺跡の入口だったんですよ。でも10年前に不死種の魔術師が住み着いて。」


 門を見つめる女給の表情は複雑だった。

 そりゃ無理も無いだろう。


 不死種の魔族がこんな近くに潜んでいるなんて、通常ではあり得ないくらい危険な事なのだ。


 その割にこの街はいたって平穏そのものだから、普段は大人しくしているのかもしれないが、やはり不気味には違いない。


「こう見えて俺は高位のウォルだ。仲間を募って退治してやろう。」


 女給に親指を立ててそう言ってやった。


「っ! ダメですよ、そんな。」


「報復を恐れているのか? それなら心配無い。腕利きを集めるからしくじったりは……」


「そうじゃありません。彼は街の名士なんですから、勝手に退治なんてしないでください!」


 ……?

 今、なにか変なことを言わなかったか?


 不死種の魔族が街の名士だって?


「彼はあの小島を正規の手続きを踏んで領主から買い取って暮らしてるんです。税金だって納めているし、沖に結界を張って魔獣の侵入も防いでくれているんです。」


「…‥でも、魔族…だろ?」


「それがどうしたんですか? 彼はすでにこの街の住人です。みんなとも仲良くやってるんですよ、ほら。」


 そう言って女給が指差した先、あまりにも自然に馴染んでいたので俺も気が付かなかった。


 そこには骸骨に皮だけ貼り付けた土気色のミイラみたいな不死種の魔族が爺さん婆さんに囲まれて、お茶を啜りながら一緒になって談笑しているところだった……。

聖華世界における魔族は異世界から来た魔神デウスーラが聖華世界の住人(人間や魔獣、時には精霊など)を眷属に作り変えた存在です。

基本的には聖華世界の人類と敵対してるんですけど、中にはその枠を外れたやつ(魔族的にはアタオカ)も少なからずいたりします。

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