第8章 開眼(後編)
特訓を始めて今日で一週間めになる。
「おせぇ!!」
怒鳴り声と一緒に空が良祐に切りかかってきた。
「っく」
空のほうを向き構えた。
この一週間で良祐は格段に進化した。
セカンド・アイは、まだ思うように出せないでいるが剣術など戦闘面では一週間前の良祐と比べて別人とも言い切れるほどだ。
空が振ってきた竹刀を体勢を低くして避け、すぐさま空の横腹めがけて竹刀を振った。
「っぐ」
軽く吹き飛ばされた空を目隠しにして紅希が良祐に向かって竹刀を振ってきた。
「マジ!?」
紅希に驚いた良祐は紅希の竹刀で吹き飛ばされた。がすぐに体勢を立て直し紅希に向かって走り出す良祐だったが
「俺を忘れんなよ。良祐」
さっき吹き飛ばされた空が良祐と紅希の間に入ってきた。
「何時の間に?」
「へへ」
横一門に振ってきた竹刀を良祐は縦に竹刀を構えて受け止めた。
「強くなったな。良祐」
竹刀を交えながら空が言った。
「死ぬ気でやってたからな・・・んな訳でそろそろ勝たせてもらうぞ。空!!」
「百年はえーよ」
お互い後ろに下がりすぐに互いに突っ込んだ。
「僕もいるよ」
竹刀を交えてると良祐はほんの少しの間、空から紅希へと視線を移した。
紅希は竹刀を刀を鞘から抜くような構えをしている。
(来る!!)
良祐は紅希がなにをやるのか分かり空と紅希から距離をとった。
「鎌鼬」
紅希が離れた良祐に向かって竹刀を振った。
その瞬間見えない斬撃が良祐に向かっていった。
「っふ」
鎌鼬が迫っているのを感じ良祐は目を伏せすぐに目を開けた。
良祐の瞳は菜の花色をしている。
良祐は竹刀を上に掲げた。
「っは!」
そのまま勢いよく竹刀を振り落とした。
振り落とした衝撃で良祐も見えない斬撃を繰り出した。
そのまま両方の鎌鼬がぶつかり激しい爆風が起こった。
だが、ここは訓練所なので砂煙もたたず激しい風に空と紅希は動けないでいた。
それを入り口で立花と桜が見ていた。
「すごいですね。良祐君」
桜が良祐を見ながら立夏に言うと立花はうなずいた。
「あぁ。もう鎌鼬も習得してやがる。まぁ、セカンド・アイを出せる時間がもう少し長ければいいんだがな」
立花は良祐を見ながらいった。
「獲った」
爆風の反動で動けない空に向かって良祐は呟いた。
空の後ろから竹刀を振り空に当たると空は吹っ飛んだ。がそれは空が炎で作り出した偽者だった。
「あめぇ」
良祐が竹刀を振り終えた時にはもう、空がすぐ後ろにいた。
「っふ」
良祐の右肩を斜めから竹刀で叩く瞬間その場から良祐はいなくなっていた。
「雷電」
体中に電気をまといながら良祐が部屋の端に肩膝をついていた。
「そこで雷電かよ・・・」
空が紅希に視線を向けると紅希が目で合図した。
紅希は視線を良祐に戻した。
(良祐はこの一週間で強くなった。
今の技、雷電は体中に電気を纏いスピードを限界まであげる技・・・・・・
正直騎士団で一番早い空でも追いきれないだろうな・・・・・・
だけどそれでもセカンド・アイでいられる時間は10分が限度。
あの技はセカンド・アイをしている時のみ使える技・・・・・・なら)
紅希と空が良祐に向かって突っ込んだ。
が良祐はそれよりも早いスピードで紅希の後ろに回りこんでがら空きの背中に向かって竹刀を叩き込んだ。
(今だ)
背中を叩かれた紅希は砕け散った。
「!?」
驚いた良祐は困惑したがすぐに我に返った。
(氷)
「氷身」
そう、崩れたのは紅希の格好をした氷だった。
「悪いけど本気で行くよ」
後ろから紅希の声が聞こえ振り向くと紅希は肩膝を着いて右手を地面に当ててる。
「氷結結界」
良祐の足元の水が固まりだした。
「何時の間に水が?」
疑問に思ってると空が口を開いた。
「お前が紅希の氷身を砕いたろ?それを俺の炎で溶かして水にしたってことだ」
説明を聞いて良祐はその場から逃げようとしたがすでに足が地面とくっついて凍っていた。
「っげ」
「わりぃな。まだ、まけらんねぇよ。良祐」
「・・・・・ケチ」
そう言い良祐は完全に凍ってしまった。
「そこまで」
それを見た立花は声を上げた。
「ふー」
紅希と空の瞳の色が元に戻ると良祐を凍らせてる氷が溶け出した。
「さび」
そう言うと良祐は桜からタオルを渡された。
「ありがとうございます」
「よし、良祐お前の訓練は一通り終了した。次は戦場に出てもらうぞ」
立花に言われ良祐はぬれた髪を拭きながら「うっす」と答えた。
「さて、訓練も終わった事だし何か食いに行くか」
立花が言うと
「さんせー」
と空が反応した。
「よし、着替えてメイン広場に集合だ」
「りょ~かい」
良祐達は着替えるためにシャワールームに向かった。
その後、立花のおごりで焼肉を食べに行った。良祐たちだった。
8回目です。昨日はバイトで更新できませんでした。
多分、火・木・金はバイトで更新できませんのでよろしくお願いします。
こんな文章でよければこれからもよろしくお願いします。