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THIRD EYE  作者: 暇な青年
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第5章 選択

「率直に聞こう良祐君」


良祐は名前を呼ばれ体が硬直した。


「ふ、そんな緊張すること無いぞ」


「そうそう」


立花の言葉に空が賛成した風に言うと


「空が言うなよ」と紅希が言った。


「君は目の治療をしたと聞いたが、なぜだい?」


立花が良祐を見ていった。


「一週間前、突然目の奥が痛くなったり色がおかしく見えたり、病院に行ったんですけど・・・・・・」


「行ったけど?」


表情を変えずに立花は言った。


「最初、理由が分からないって言われて、新しく設備した超音波機とかレーザー線の治療を受けたんですけど、効果がなくそれから数日したらもとに戻っていて色もしっかり分かるようになったんでそれを病院で言ったら「ストレスでしたね」っていわれました」


その話をきいて立花は机の引き出しから分厚い本を出してパラパラとめくっている。


(・・・・・・)


視線を本に向けたまま立花は口を開いた。


「襲われたとき、人形(ドール)に何か言われた?」


それを聞いて良祐は目をつぶって記憶を呼び戻し始めた。


「・・・・・・」



「・・・・・・」


(良祐・・・)


紅希が見ていると良祐が口を開いた。


「俺の目を主に捧げるって言ってたような言ってなかったような」


主と聞くと立夏が本をめくっていたのがピタッと止まりすぐにまためくり始めた。


「そうか。・・・主・・・か」


そうつぶやくと立花は本から良祐に視線を向けた。


「こちらの質問は終わりだ。良祐君は何か聞きたいことがあるかな?」


「え?もういいんですか?」


「んじゃ・・・」


意外と早く、というか早く終わりすぎだと思いながら良祐が質問した。


「聞きたいことはいっぱいあるが、まずは紅希と空の瞳の色が変わる理由。それが気になる」


紅希と空は顔を見合わせて良祐を見た。


「それは僕が説明しますよ。隊長」


紅希が立花の隣に来た。


いま立花の隣には良祐から見て右側に桜が立っていて、左側には紅希が立っている。


「それじゃ、質問に答えるね。良祐」


「まずはこの目の呼び方を教えよう。この目の事を僕達は、セカンド・アイと呼んでいる」


(セカンド・アイ・・・・・・第二の目)


良祐は紅希の言葉を心の中で復唱した。


「さて説明を続けよう。

この目は対人形(ドール)用に作られた目である。いや違うな作られたんじゃなくて、生まれた時にはすでにセカンド・アイの構成が出来上がっている。それが何らかのきっかけで発動する。これがセカンド・アイの正体だ。そしてセカンド・アイにはさまざまな力を持っている」


良祐を見据えたまま紅希が言った。


「ちょっと待て、それはこの世界にいるすべての人が持っているって事になるぞ?」


「そう、セカンド・アイは全ての人々が持っている。けどセカンド・アイが僕らみたいに表に出てくることは、早々にない」


紅希は普通に分かりやすく言っているが聞いてる良祐にとっては結構シビアな話だ。


「早々ないってどれくらいの確立?」


「一万人に一人の割合」


(・・・・・・)


するとここで立花が口を開いた。


「現実を言えば君もセカンド・アイの一人だ」


「っな!?」


突然言われたことに良祐は驚いた。良祐だけじゃない紅希と空もだ。


「マジかよ?隊長」


空が聞くと、立花は無言で頷いた。


「・・・・・・他に聞きたいことは?」


紅希が聞くと良祐はすぐに次の質問を言った。


「セカンド・アイの代償は?」


真剣な目つきで聞くと


「その点は大丈夫。もともとセカンド・アイは体にあるものだからどんなに表に出しても体に害は無い」


害が無いと聞き胸を撫で下ろす。


「んじゃ人形(ドール)について」


「その話は私がしよう」


立花が紅希に向かっていった。


人形(ドール)とは、ある一人の科学者が国の力を借り作り出した人間型のロボットだ」


「ロボット?」


「だが、そのロボットにはとても貴重な部品を使わないと作れない動力源だった。その為、動力源を作れず失敗に終わった。終わる筈だった」


(終わるはず?・・・ってことは)


立花の過去形の言葉に引っかかる良祐を見て立花は


「君の予想道理、科学者は、あきらめきれず国外に出て一人で研究をしていた。その時セカンド・アイの事を知り、それを動力源にしようと人をさらい他人の目を取り出しそれを動力源・・・・・・コアにした」


「・・・・・・んな」


話を聞くとセカンド・アイの力がよく分かった。


(セカンド・アイ・・・・・・そこまでの物なのか)


「君も知っているだろ。世界で多数の行方不明者の事件を」


良祐は頷いた。


(外国でたった一週間で五十人以上がいなくなったと言う事件)


「そのため、見つかった死体には目が無かった。世界政府は不振に思い人々の目を調べセカンド・アイの存在に気づいた」


「その為、世界政府はこの事件のためにある組織を作り出した」


「それが騎士団」


良祐は立花の言葉の続きを言った。それに対し立花は頷いた。


「だがセカンド・アイをコアにした人形(ドール)はとてつもなく強かった。その為、政府は対人形(ドール)用の武器を作り人間対人形(ドール)の戦争が起きた」


衝撃を受けた。


(そんな話聞いたことがねぇ・・・・・・セカンド・アイを隠すため消したのか)


「幸い、人々の中にもセカンド・アイを使える人間がいたおかげで戦争には勝利し、その科学者は捕まえられ・・・・・処刑された」


「・・・・・」


「この戦争のことを俺たちは人形(ドール)戦争と呼んでいる」


「それは何時の話?」


話を聞いてた良祐は立花に聞くと


「五年前の話だ・・・」


「・・・隊長殿は詳しく知ってるようだけど何で?」


立花は良祐から視線をはずし外に視線を向けた。


「俺も人形(ドール)戦争に行ったからだ」


「そうですか・・・」


立花が視線を良祐に戻した。


「だが未だに人形(ドール)がいるのは何でだと思う?」


質問され良祐はすぐに答えた。


「誰かがその研究を引き継いでるから。でしょ?」


「その通り」


人形(ドール)はセカンド・アイの開花しそうな人間を真っ先に狙う。これからも少なからず狙われるだろう。どうだ?良祐お前も騎士団に入らないか?」


「っな!?」


良祐が驚いた。


「今回は空と紅希が間に合ったから良いものの次は何時襲われるか分からない。

ならいっそ騎士団に入り、俺たちと一緒に戦わないか?」


空と紅希は黙ったまま良祐をみている。 


良祐は目をつぶり考えている。


「無理にとは言わない」


「・・・・・・」


目を開け良祐が口を開いた。


「少しでも俺の力が役に立つなら・・・・・・・よろしくお願いします」


立花は微笑みながら椅子から立ちあがり、良祐の前に立ち手を出した。


「よろしくな」


「こちらこそ」


良祐は立花の手を握った。

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