第51章最終戦編 開戦
霊山の麓に着くと騎士団は静かに待った。
(あと、一分・・・・)
紅希は身に着けている時計に視線を落とし、空は、時が来るのを瞳を閉じ、じっと待っている。
「・・・・・・・」
瞳を閉じ、ゆっくりと深呼吸をし、良祐はゆっくりと瞳を開けた。
静寂の中、どこからか聞こえてきた除夜の鐘が耳に入ってき、良祐はゆっくりと後ろに振り返り口を開いた。
「お終わりにしようぜ・・・・・」
一本の木の上にいる青年に語りかけ、青年は不敵な笑みで答えた。
「そうだな・・・・・私が貴様らを殺し、神の瞳を手に入れる」
「させねぇよ」
青年の言葉に空が反発した。
「その通り」
「私達が、貴様を・・・・」
紅希、桜、聖華が青年を睨む。
「ここで、殺す!!」
立花と竜也が声を揃えて言い切った。
「やってみな!!」
青年・・・・・・国生蓮は声と共にゆっくりと右手を騎士団に向けた。
「戦争の・・・・」
「始まりだ!!」
良祐たちと蓮の声が開戦の合図をかけた。
同時に麓の森の中から数百体の人形と動物が騎士団に襲い掛かった。
「各員、敵を殲滅しろ。良祐、紅希、空は合図が出るまで人形と動物の殲滅。桜!!」
各員に命令を出すと桜を呼んだ。
「はい!!」
立花のそばに現れると竜也、聖華もそばに来た。
「・・・・・・」
依然として木の上で高みの見物していた蓮がゆっくりと立花たちに視線を向けた。
「何?もう、私と戦うのかい?」
「そうよ・・・」
「そう・・・・」
蓮は右手を前に掲げ、手に力を込めた。
「それじゃ、行きましょうか!!」
何も無い空間から等身大で細身の刀が出てき、それを掴むと木から飛び降り、立花たちに向かってきた。
「桜と聖華はバックアップを!竜也!!」
「分かっている!!」
二人は後ろ腰に差してある刀を抜き、マントの隙間から刃を出した。
桜と聖華は後ろに下がり腰に差してある刀を抜いた。
「マントは邪魔だろ?」
「別に・・・・」
「ハッ!!」
短い会話が終わると立花の刃と蓮の刃が交わりあった。
交わりあった刹那、後ろから竜也の刃が蓮を襲った。
「っと」
左手を後ろに回して刃を受け止めた。いや、刃の軌道をずらした。その為、竜也の刃は蓮を切る前に地面に刺さった。
「重力か・・・・」
「ご名答」
上機嫌に竜也に向けて答えた。
「なら」
「これは」
「どうだ!!」
二人が蓮から距離をとった。
「させる・・・っな!?」
立花に近づこうとした瞬間、左右から風を切って斬撃が飛んできた。
左右では、桜と聖華が鎌鼬を放った構えをしていた。
避ける隙もなく鎌鼬は蓮を襲った。その為、土煙が蓮を隠していている。
「・・・・・・」
(少しくらいダメージがあればいいんだが・・・・・・)
構えを解かず立花は睨みつけている。
「あっぶな~」
「っツ!?」
土煙が消えると無傷で蓮が立っていた。
「仮にも大将だぞ?さっさと本気で来い!」
左手で「掛かって来い」と言う感じにクイクイと動かしている。
「上等・・・・」
立花たちの瞳の色が見る見ると変わってきた。
「それで良い・・・・・」
その頃、良祐達はセカンドもファーストも使わないで人形たちに刃を振っている。
「しっかしまぁ~」
無造作に切り裂く空が口を開いた。
「何だ?」
空の背中に良祐は背中を当てた。
「キリがねぇぞ」
「仕方、ねえだろ!」
斬りかかって来た人形から二人は距離をとり、二人で高速に人形を切り裂いた。
「口より手を動かして、っよ!」
数体の人形を切り裂きながら紅希は口を開いた。
「わかってらぁ」
良祐と空は別々に人形の大群に突っ込んだ。
ついに始まりました、最終決戦。
今のところ、あと8,9回で終わります。
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