第50章最終戦編 出陣
戦闘服が出てきますがどんな感じかはご想像にお任せします。
すいません。
メイン広場のソファに座って良祐たちは目をつぶっている。
「三人とも」
「ん」
女性の声が聞こえ目をゆっくりと開けると、お椀を乗せたトレイを持って桜が目の前に立っていた。
「はい、年越しそば」
「あ、ありがとうございます」
三人は桜からお椀を受け取った。
「失礼するわね」
「どうぞ」
配り終えると良祐の隣に腰を下ろした。
「あと、一時間半、か」
広場の時計を見て呟く良祐を紅希は、そばを食べながら見ていた。
「緊張してる?」
「ん~少し」
答えると紅希はクスっと笑った。
「何だよ、自分から質問したくせに」
「ごめんごめん。以外だったから」
「あのな~、オレだって命の掛かってない戦いなら緊張しねぇよ」
「だな・・・・」
良祐の言葉に空はお椀に視線を向けながら賛同した。
「・・・・・・・」
「ん、何、驚いてんすか?」
そばを一本すすっている空は桜の表情を見た。
「空も緊張するんだね」
思ってもいなかった言葉に空はリアクションを取れなかった。
現在10時38分 残り時間1時22分
そばも食い終わり、空と紅希はさっきと同様仮眠をとっている。
「・・・・・・」
ソファからすっと立ち上がり良祐は入り口に向かった。
「・・・・?」
お椀を返しに行った桜が丁度戻ってきて不審に思い良祐の後を追った。
「騎士城から出ちゃダメでしょ」
「うゎっ、って、先輩!?」
森の中、それも夜なので後ろから声を掛けられた良祐は何かと思い後ろを振り向いた。
「いや、ちょっと外の風に当たりたくて・・・・」
空を見上げると月明かりでうっすらと周りを照らしてる。
「あんまり、心配させないでよ?」
「あんまりって・・・・・」
「だって、心配させないでって言っても無駄でしょ?」
「まぁ」
静かな森の中は二人の声と風の音しか聞こえない。声を出さなければ心臓の鼓動も聞こえてしまうくらい森の中は静かである。
「・・・・・戻りますか」
騎士城を見て良祐が聞いたが桜からは返事が無い。その代わり良祐が羽織っていた上着の袖を掴んでいた。
「もう少しだけ、いましょ?」
桜の恥じらいの顔を見て良祐は「少しだけですよ」と月に視線を向け言った。
「ん?良祐と桜を知らないか?」
立花が腕に何かを抱えて空と紅希に聞いてきた。
「二人なら外でイチャついてますよ」
片目を開け、空が立花を見て言った。
「あっそ。お前達これに着替えろ」
「またか」という感じで立花は苦笑いして、腕に抱えていた物を二人に投げ渡した。
「ん、これは?」
渡されたものを広げると黒一色に手首の部分と裾の部分が赤色の長袖長ズボンの戦闘服だった。
「人形戦争の時の戦闘服を基にした服だ」
二人はまじまじと戦闘服を見た。
「十分後、外で集合だ。それと良祐たちにも渡しといてくれ」
「はい」
紅希が受け取ると立花は自分の部屋に戻っていった。
「今の隊長だろ?何だって?」
立花がいなくなって二人が戻ってきた。
「これ」
ニコッリと受け取ったものを二人に渡した。
「戦闘服だ。それと、十分後外に集合」
空から説明を聞くと桜は着替えに行った。
「俺たちも行くか」
「オレ、シャワー浴びてくる」
「時間ある?」
「浴びるだけだよ」
「俺も行く」
空の言葉に良祐も同意して、渋々紅希もシャワールームに向かった。
「遅い」
「・・・・・・」
十分後、騎士城の外には数百の騎士が集まっていた。が、その中に良祐達は見当たらない。
「遅れました!!」
騎士城から走ってきた良祐たちの声を聞き立花の表情が引き締まった。
「これから、霊山の麓に向かう」
「そこが本拠地って訳か・・・・・・・ん?」
「どうした?」
何かに気付いた良祐に空は聞いた。
「マント」
「は?」
「隊長達、マントつけてる」
「・・・・・・・本当だ。竜也隊長や副隊長の二人も付けてる」
良祐と紅希が言っている事にいまいち分からず頭の位置をあっちこっちに動かすと立花が見えた。
立花はさっき渡された戦闘服の上からマントで体を覆っている。
マントの色は戦闘服の黒と比べ濃い黒色で長さは上が鼻を隠しきり下は足首までの長さである。
左頬の辺りにボタンがありそこで止めていた。
「よし、先頭は竜也と聖華に任せる。各々続け」
腕を横に振ると竜也と聖華が移動し始め、他の騎士も動き始めた。
「お前達、これを付けろ」
後ろに移動して来た立花と桜に同じマントを渡された。
「これは、俺たちが認めたヤツだけ付けられるものだ」
マントをじっと見つめ体に掛けた。
渡されたマントをすぐに付けるともう他の騎士がいなかった。
「行くぞ!!」
「オッス」
立花の後を良祐、紅希、空、桜は追った。
マントは分かりにくいと思いますが、ナルトの暁がつけている物を思ってください。