第45章 レベルUP
紅希の戦闘が終わって数分後、淳が凍りついた人形を見た。
「・・・・・・」
人形に対して淳は右手で人形を掴むような仕草をした。
「・・・・?」
淳の仕草を変に思い、淳に向けていた視線を、凍りついた人形に移した。
掴むような仕草をしていた手が握りつぶす仕草に変わった。すると人形の氷が崩れ落ちた。
「なっ!」
何が起きたか理解できずに紅希は驚くしか出来なかった。
「よし、準備は整った。お前ら!」
戦闘していた良祐と空、それと戦闘が終わった紅希は淳に視線を向けた。
「セカンド・アイになって五分以内に倒せ」
「・・・・・・!?」
言葉を聞くと戦闘中だった二人は理解するのに数秒かかった。
(そっか、今、ファースト・アイだったっけ)
二人は、今の瞳がファースト・アイだったと言う事を忘れていた。
「よっしゃあ!!」
空の声に反応して良祐と紅希もセカンド・アイに戻した。もちろん空も。
「よし、始め!!」
合図を出すといつの間にか手に持っていたストップウォッチのスイッチを押した。
良祐VS人形
さっきと見違えるほどの動きをしている良祐は、自分の動きに自分が驚いている。
「ハ、ハハ、体が思った通りに動かせる・・・・!」
人形に斬りかかっている良祐の刃は斬る速度が速すぎて斬撃が無数にも見える。
みるみる内に人形が切り裂かれていく。
「オラ!」
数回切り裂くと胴体を蹴り、人形を蹴り飛ばした。
(今なら・・・・・)
刃に風が吸い込まれていく。ファースト・アイの時とは遥かに違う勢いで。
「オッラ!」
吸った風を人形に向かって、放った。
鎌鼬を喰らった人形は、紙を破り捨てるみたいに切り裂かれた。
「よし、良祐は終わったな」
そう言うと、空に視線を移した。
「ッハ、おせぇ!!」
人形の周りを空が高速で移動しながら前後左右から切り裂いている。
「終わりだぁ!!」
刃が炎に包まれた。それを、人形の後ろから横一線に切り裂いた。
「・・・・そ、空も終わった・・・・・・」
驚きを隠せないでいた。
「紅希・・・は?」
視線を移すと、既に人形は凍っていた。それもさっき見た凍り方と違って、分厚い氷で凍らされている。
「ハ、ハハ・・・・」
呆気にとられた淳は開いた口が閉まらない。そのまま、手に持っているストップウォッチに視線を落とした。
(こ、こいつら・・・・・)
ストップウォッチの時間は、一分。
セカンド・アイになって一分で敵を倒したのだ。
「終わりっすか?」
空が淳の前に移動してきて声をかけた。
「あ、あぁ、どうだ?体が軽かったろ?」
良祐と紅希も近寄ってきた。
「えぇ」
「それなら、ファーストを使いこなしてる結果だ。
ファーストになっている間は、無理やりセカンド・アイの片方を押し込めているからな。ファーストを使った後にセカンド・アイを使うと爆発的に強くなるぞ。五分間は・・・」
「え、五分間?」
聞き返す良祐に頷いた。
「五分間は、ま、ストレス発散みたいな物だ。五分経つといつも通りになるからな。覚えておけ」
「はい」
三人の返事を聞くと笑みを浮かべた。
「よし、今日はここまで。それと、ファーストを出す練習はやっておけよ」
「へ~い」
訓練所から出て行く三人の背中を見ていると、後ろから肩を叩かれた。
「ん?」
振り向くとそこには竜也がいた。
「いつの間に?」
「最初ッからいたぞ・・・」
「そ、そう、ハハ・・・」
(気付かなかった)
淳は苦笑いをした。
すいませんが、今日はこれだけです。
ちょっと、冬休みの宿題を頑張りたいので。