第42章 指導開始
「力を試す前にファーストの力を教えておこう」
「力?」
「どれほどの力が出せるか?ってことだよ」
「あぁ」
納得した空は、淳に話しを進めるように促した。
「ファーストはセカンドと比べて約半分以下に落ちる」
「・・・・・」
「だが、その分メリットがある。ファーストだけ使っていたら二時間はいられる。そして休憩無しですぐセカンド・アイを今まで道理、強いままで出せる」
腕組して聞いていた良祐が口を開いた。
「もし、セカンド・アイを解けるまで使って、それからすぐにまたセカンド・アイを発動させたらどうなる?」
「どうなる以前の問題だ。まず、セカンド・アイは必ずと言って良いほどの確率で発動しない。仮に発動しても三分と持たない」
「・・・・・」
話を聞くと良祐はさっきと同じく黙り込んだ。
「よし、これから、ファースト・アイの力を理解してもらうため戦闘をやってもらう」
部屋の真ん中まで移動した良祐、紅希、空は、淳の話を聞いていた。
「戦闘って、誰と?」
「疑似人形。と言いたいとこだが、力が分からない間は、こいつ等と戦闘してもらう」
言い終えると淳の瞳が両方とも紅紫色に戻っていて、右手を前に出し印を結んだ。
「はっ!!」
印を結んだところから不思議な波動が良祐たちに当たった。
「な、何ですか?・・・・・・なっ?」
良祐が声を出すと、地面から木の人形が良祐の前に現れた。
「これは?」
空が人形を観察しながら聞くと淳は微笑んだ。
「これはお前達がこれから戦闘する相手だ。
それと、最初に言っておく。お前達の目の前にある人形は、俺たちにしか見えないからな」
「はっ?」
淳の言葉に戸惑う良祐と空だったが、紅希は、冷静になって頭を回転させて考え出した。
「・・・・・・幻術、ですか?」
「おぉ、さすが紅希だな。
紅希の言った通り、これは幻術だ。今、オレはお前達に幻術をかけている。その為、オレとお前達にしか人形が見えてない。ついでに言うと、この人形と戦闘しても傷つきはしない。痛みは受けるけどな」
「・・・・・・ようは、合宿の架空戦闘と同じ。ってことでしょ?」
空は合宿のことを思い出し、結論を言った。
「その通りだ。・・・・つか、お前ら、あの合宿やったのか?」
「あぁ」
「ほ~」
「何だよ?」
「べっつに~」
釈然としない空を尻目に淳は話を戻した。
「ま、理解できたな?それじゃ、オレが終わりと言うまで戦闘を続けろよ。それとセカンド・アイも使うなよ」
話しを聞いた三人は頷き、互いに距離をとった。それに合わせて、人形もそれぞれ三人の前に移動した。
「・・・・・よし!始め!!」
合図が掛かった瞬間、良祐たちは人形たちと戦闘を始めた。
良祐VS人形1
良祐は、人形に剣戟を振っている。
(・・・・)
だが、人形は腕を使って尽く防御している。
(木の人形に痛みなんて持ってないか・・・・・・)
そう思うと良祐は、人形を防御ごと吹き飛ばし、良祐は刀を体の前で構えた。
構えると周りから風が刃に吸い込まれてくるが、いつもと比べて風の量が少ないと感じ取った。
(これじゃ、弱い・・・・・・)
『ファースト・アイでいる時はセカンド・アイの時より力がダウンするからな、覚えておけ』
淳の言葉を思い出した良祐は驚いた。
(これほど、力が落ちるのか?)
刃を振りぬくと見えない斬撃・・・・・・鎌鼬が人形に襲い掛かった。が、今までの鎌鼬と比べると威力は、三分の一も出ていない。
「・・・・・・」
淳は良祐の戦闘をじっくり見ていた。
(まだだな。いくらファーストと言っても、あそこまで弱くは無い)
鎌鼬が当たった衝撃で煙が上がった。その中から人が立つ影が見えた。
「ふ~、まだコントロールできて無いってか」
煙の中から人形が飛び出してきた。
「ん?」
向かってくる人形をよく見ると、腕の辺りが少しでかくなっている様に感じた。
「まさか・・・・・」
「言い忘れていたけど、戦っていると強くなっていくようにしているから」
「なっ!?・・・・っく!」
淳の言葉を聞いて良祐は一瞬、淳の方を向いた。その時、人形が良祐に向かって右拳を振ってきた。
それを咄嗟に刃の側面で拳を受け止めた。
「・・・・・・」
止められたと分かった瞬間、右拳を引っ込めすぐさま左拳を放った。
「っげ?」
二発目の拳は一回目同様、刃の側面で受け止めたが威力が格段に上がっていた。
その為、部屋の真ん中から、部屋の端まで吹き飛ばされた。
「セカンド・アイ無しだと苦労するな・・・・・・」
立ち上がった良祐は一人、愚痴をこぼした。
あと少しで今年も終わりですね。早いものです。
出来れば今年中THIRD EYEを終わらせて次のステージに行きたかったのですが、まぁ、無理ですな。
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