第3章 目撃
男を睨んでいると男が手を握り、開いた。そのたび轟音が空たちに襲い掛かった。
「何度も同じことしてんじゃねぇ!!」
帯刀していた刀を勢いよく抜刀して、その抜刀の衝撃で轟音が、かき消されかわりに衝撃が男に向かっていった。
「グゥゥ」
衝撃を受け体が揺れた。
「おそい」
小さく言葉を発した紅希が男の後ろに立っていた。
紅希に気づいた男はすぐさま紅希に振り向いたが、その場には紅希はいなくなっていた。
「!?」
「どこ見てる」
声を掛けられ視線を動かし体を正面に向けた。いつの間にか紅希は刀を右手に持って、さっき空と良祐がいた場所に立っていた。
(何なんだ?さっき空と紅希の目の色が変わってそれから空が刀を鞘から抜いてなんかした・・・のか?そしたらいきなり紅希が男の後ろに立っていて、男が紅希のいた場所を見るといつの間にか紅希が俺の前に戻ってきてる。何が起きてるのか分からねぇ)
良祐が空たちの行動を見て頭が混乱してきた。
「ガァ!」
男が紅希の方を向き、遠くから紅希に向かって大きく縦に引っかくような仕草をした。
すると今までのような轟音は起きてないが地面が削れながら紅希達に見えない何かが向かっていった。
「・・・・・・」
「まだ?」
「もう少し」
視線を男に向けたまま空が聞いた。それを紅希も男を見たまま答えた。
(何言ってんだ?)
空たちの会話を聞いて何事かと思っている良祐だったがすぐに言葉の意味が分かった。
空は見えない何かに対して刀を横一線に振りぬき何かが消滅する音を聞いた。
「時間だ」
紅希が手に持っていた刀を鞘に戻した。
「ナンノ・・・マネダ」
男は不審になって声を出した。
その言葉を聞き紅希が口を開いた。
「何の真似って、決まってるだろ。お前が死んだからだよ」
冷たい声で紅希が言った。
「バカヲイウナ。オレ・・ハ、イキテ・・ッウ」
男が会話の最中に自分の体の異変に気づいた。
「キサマ・・・ナ・・・ニ・・・シタ?」
「僕が君の後ろまで行って何もしなかったと思った?」
紅希が嘲笑しながらいいすぐさま冷酷な顔になった。
それを見た良祐はビクッとした
(紅希のあんな顔、始めてみた)
「そろそろ落ちるよ」
そう言った瞬間男の両腕がとれ、血が止まることなく流れ出す。
「ガァァァァァァァァァァ」
落ちた両腕をみて叫びだす男を見て紅希が口を開いた。
「キ・サ・マ・・・」
「よくも僕達の大切な親友を傷つけてくれたね。その罪、万死に値する」
その言葉を聞き男が紅希に向かって突っ込んできた。が突然男の体が縦に真っ二つに分かれた。
「ナ?」
「言っただろ。お前は死んだって」
そう言い捨て紅希は良祐に振り返り空も振り向いた。
「大丈夫、良祐?」
いつもどおりの声、いつもどおりの瞳の色の紅希と空を見てから、紅希のずっと後ろに真っ二つになってる男を見て良祐は口を開いた。
「紅希、空お前らいったい、何やってんだ?それにあの男はいったい?」
「その話は場所を変えてから話すよ。空、人形の後処理頼める?」
紅希が良祐から空に視線を移していった。
「しょうがねぇな」
そう言い空はその場から立ち上がり男の所まで歩いていった。
「ふー。」
深呼吸をしてから空の瞳の色が緋色に変わり腰に差した刀を地面に突き刺した。
「タルタロスの門よ罪を犯した哀れな傀儡に魂の断罪を」
呪文を唱えると地面に刺した刀から男の亡骸を囲むような線が現れ男を囲み終えると囲まれた部分の地面が消え男の亡骸が堕ちていった。
亡骸がなくなると地面が現れ空は何事も無かったかのように刀を取り腰に鞘に戻した。
「行くぞ」
空の声で我に返った良祐は今の出来事に驚いていた。
「何だ今の」
「その説明も後でするから付いてきて」
紅希は言いながら良祐が立ち上がるために手を差し出した。
「行くってどこに?」
「世界が認めた唯一無二の部隊。特殊機動部隊騎士団」
前にいる空と肩を貸してる紅希が声を合わて言った。
たまに表現の仕方がわからなくなるので分かりにくかったらすみません。