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THIRD EYE  作者: 暇な青年
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第38章 自分の所為

「たく、今まで何してたんだ、隊長?」


空の言うとおり三人は立花と会うのは一ヶ月ぶりである。


「ん、まぁ竜也と一緒に一ヶ月間、戦闘形式の特訓してたんだよ」


「・・・・・・」


(隊長同士の戦闘・・・・・)


(見たかったなぁ・・・)


空と紅希は立花と竜也の戦闘を余り見たことが無いので興味を持っている。


「ま、隊長には聞きたいことが山ほどあるけど、まずはさっきの説明をしてくれます?」


良祐は今まで見た立花とは明らかに力が増している立花を見て、口を開いた。


「なぁに、力いっぱい刀を抜いただけだよ。ん、何だ良祐、羨ましいのか?」


勝ち誇った顔して良祐に言った。


「・・・・・・別に」


立花の表情を見て良祐はムッとして答えた。


「随分と余裕をこいてるね」


「んっ!」


声の方を見るとそこには蓮が立っていた。当然、爆風に吹き飛ばされただけなので外傷は無い。


「・・・・その瞳はやはり」


「えっ?瞳?」


立花の言葉に三人は蓮の瞳を注意深く見た。


「あっ!」


「お前ら、国生がセカンド・アイになっている事に気付かなかったのか?」


「あぁぁ・・・・・・」


「たく」


(・・・・・それより、僕たちが気付かなかったことにすぐ気付くとは・・・さすが隊長だね)


紅希は、立花の観察力に心底感心した。


「よく気付いたね。オレのセカンド・アイは深紫色、もともとの瞳の色と余り変わらないのに・・・」


「バカやろう!分かりやすいだろうが!・・・まぁオレの場合はこの、卯の花色だから他の色に対して敏感なんだよ」


自分の瞳を指差し蓮に言った。


「なるほど」


「それより、あんたのその瞳・・・・

深紫色・・・・・異数な属性、

確か重力?だったか?」


立花の言葉を聞いた蓮は驚倒した。


「・・・・よく、しってるね」


「まぁ・・・・な」


「ふー・・・・・・今日はここまでにさせてもらう」


「逃げるのか?」


挑発する立花に対し蓮は不敵に笑う。


「バカ言うな。いくら能力を知っているからって、そこの三人を庇いながらオレを殺せるとでも?」


三人は蓮の言葉を聞き息を呑んだ。


(確かに、今の俺たちじゃ隊長の邪魔になるだけだ・・・)


「やってみなきゃ分からないぜ?」


以前変わらず挑発する立花に対し蓮は立花たちに背を向けその場から霧のように消え去った。


「ふ~」


「隊長・・・・」


良祐の声を聞き立花は振り向いた。そのときにはすでにセカンド・アイが解けていた。


「良祐、よく頑張ったな」


「えっ?」


言葉の意味が分からず言葉を返した。


「国生の事と桜の事だ」


「あっ・・・・・」


「国生を相手に良くあそこまでできたな。桜の事も」


「いや、俺は何もできなかった。だから先輩が斬られた」


俯き顔を下に向ける良祐を見ると立花は良祐の頭をなでた。


「それでもよくやった。お前が頑張った結果、桜は死なないですんだんだから。さっき桜が運ばれた病院から電話があって一ヶ月入院すれば大丈夫らしい」


「・・・・・」


「よし!かえっぞ!!」


「了解」


立花の掛け声と共に空と紅希は、声をそろえて言い、四人はその場を後にした。




次の日 10月6日


いつもどおり良祐たちは学校に登校していた。


だが、いつもと違うとしたら良祐達は傷だらけの包帯まみれになっている事だ。特に良祐が。空と紅希は擦り傷程度だ。


「どうしたんだ?良祐」


「何した、高藤?」


「いや、ちょっと事故に会っちまっただけだから・・・」


教室で他の男子達に心配され良祐は、対応に困っていると


「良祐、先生が呼んでるぞ」


「分かった。んじゃまた後でな」


空に呼ばれ良祐は教室から出て行った。


「ん~~何と言うことだ。まさか北条君まで騎士団だったとは」


「そう言う事で今、先輩は病院で入院しています」


今、良祐、紅希、空は校長室で桜の事を話していた。


「何で今まで言わなかった?」


勝田先生が頭を抑えながら聞いてきたので紅希が口を開いた。


「いや、先輩はとっくに言ってあるのかと思って・・・・」


「まったく」


校長は三人の言葉を聞くと良祐に視線を向けた。それに気付いた良祐は静かに口を開いた。


「・・・なんですか?」


「傷は大丈夫なのかと思ってな」


「大丈夫っすよ」


と無理に笑って見せるが、空と紅希は心配そうに良祐を見た。


(良祐・・・・・)


(やっぱ先輩の事、自分の所為だと・・・)


「それじゃオレ、騎士城に来るように呼ばれてるんで行って良いですか?」


「あぁ」


勝田先生の言葉を聞くと、お辞儀をして部屋を出て行った。


「・・・・・・」


空と紅希は、部屋の扉に視線を向けていた。


「お前達は行かなくて良いのか?」


「僕達は呼ばれてませんから」


視線を戻し紅希が言った。


(もともと召集なんて掛かってないからね)




良祐は学校から出ると在る場所に向かって歩き出した。


「・・・・・・」


目的地に向かっている中、町中が活気づいているが良祐には何も聞こえない。


まるでそこには良祐以外誰も居ないかのように。


(オレが・・・・・)


次第にはさっきまで晴れていたのに、突然太陽が雲に隠れ雨が降り出してきた。


町の人たちは突然の雨であわてている。


が、良祐は歩みを止め上を向いた。雨は次第に強くなってきた。


「オレが・・・弱いせいだ・・・・・」


一人、小さく呟いた。


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