第37章 久しぶり
「・・・・・・・」
良祐に振った刃は頭に当たる前に止まった。
「そこまでだぜ・・・・・・」
良祐の横には空と紅希が立っており二人の刃が蓮の刃を止めていた。
「これはこれは」
刃を引き蓮は数歩、後ろに下がった。
「・・・・・・」
「空、紅希・・・」
顔を向けると二人は良祐に顔を向けた。
「何やってんだ?良祐」
「うるせー。っと、それより先輩は?」
良祐に掛かっていた重圧が無くなったのを感じ、足に力をいれ、立ち上がると、すぐに桜の事を思い出し慌てて二人に聞いた。
「大丈夫。ここに来る前に医療斑を呼んだから、今頃治療しているよ」
「そっか」
紅希の言葉を聞き、大きく息を吐いた。
(よかった・・・)
深呼吸すると良祐は二人に並び再び蓮に視線を向けた。
「いけるか、良祐?」
「誰に言ってんだか・・・」
「大丈夫だってさ」
空の言葉を軽く返し紅希が締めた。
「お、来るかい?」
「・・・行くぞ!!」
良祐の合図と共に三人は、前と左右から蓮に刃を振った。
「あまいな~」
ニッコリ笑うと左手を上に掲げ、手をひらいた。
「がっ・・・・・・」
「んっ・・・・・・」
「ぐッ・・・また・・か・・よ・・・・・・・」
三人はさっきの良祐と同じく重い重圧によって、動けなくなった。
「フフッ」
左手を下げると蓮は、三人の前から姿を消した。
「!?」
頭も動かす事もできない三人は視線だけを動かした。
(い・・・・ね・・ぇ)
そう思った瞬間、三人の上空に風が集まっているのを感じた。
(マジ・・・か・・・?)
三人の上空に蓮は、刃を掲げている。
掲げている刃には、風が吸い込まれている。それも良祐たちが使う鎌鼬が使う風の量を、遥かに超えており、次第に蓮の刃が風の音のせいでうなり声が聞こえてきた。
「やばく・・・な・・い?」
「ア・・レは、鎌鼬の・・・何倍もの・・威力がある・・・な・・・」
「くッ・・・・・・」
三人は刃のうなり声と風の量を感じ取り、蓮が何をしているか大体の予想が付いた。
「この・・ヤロウ・・・元旦の・・・日まで・待つんじゃ、なかっ・・・たのか、よ?」
重圧に耐えながら、良祐は言葉を発した。
「ん?そのつもりだったんだけど、余りにも暇でね、それに・・・」
「それに?」
蓮が言葉に詰まると紅希が口を開いた。
「・・・・それに、余りにも良祐たちが強いんでね、今のうちに戦力を潰しとこうと思ったんだ」
笑顔で蓮は言った。
もちろん、三人は蓮の今の表情は、見えない。
「それじゃ、準備ができたんで・・・終わりにさせてもらう!」
風を吸った刃は止まることなく、うなり声が聞こえる。
刃を下ろし、それを力いっぱい振り抜いた。
振り抜かれた刃から目に見えるほどの斬撃が現れた。
重圧とは別の圧力が三人に襲い掛かった。
(これは・・・)
(ヤバイ・・・・・死ぬ!!)
「塵となれ・・・・・・」
斬撃が三人に直撃する瞬間、三人の真ん中に一人の青年が現れた。
「あ、ア・・ンタ・・・は!」
空の言葉に良祐と紅希が反応した。
「っッ!?」
瞳が真っ白で良祐たちが良く知っているがここ数ヶ月会っていない青年がそこにいた。
青年は上空から襲い掛かってくる斬撃に視線を向けた。
「鎌鼬とは違って目に見えるからラクだな・・・・・」
そう言い捨てると、青年は後ろ腰に差してある刀の柄に手を掛け勢いよく刀を斬撃に向かって抜刀した。
抜刀した勢いで斬撃が激しい音をして消滅した。
「ぐっ」
斬撃が消滅したため、凄まじい風が蓮に返ってきた。
青年は蓮から視線を外し、三人に向いた。
重圧が解け三人は青年に近づいた。
「大丈夫か、お前ら?」
「たく、おそいっすよ・・・・・・隊長!!」
良祐は立花に言った。
久しぶりに立花が来ました。
8話ぶりです。いや~何時出すべきか悩みました。
それと、たまに蓮などが自分を表すとき「オレ」や「私」など言いますが、余り気にしないでください。