第30章 桜のお願い
「・・・・・・であるからして」
10月5日、良祐達はいつも通り、学校に登校している。
その為、ただいま教室で現代文の授業を聞いている。二人は。空は毎日特訓をしているので学校に登校してくるとすぐに寝てしまう。
先生が黒板を指しながら説明しているが良祐も気を抜くと頭が落ちてしまうため、あまり授業内容は理解できていない。
紅希は、隣で必死に寝ないようにしている良祐と斜め前で爆睡している空を交互にみて苦笑している。
十分後、何だかんだと寝ないように頑張っていた良祐は寝てしまっていた。
「あらま」
良祐を見て微笑みながら呟く紅希だった。
その後、紅希は授業をまじめに聞いていたら、授業の終わりを告げる鐘が学校中に鳴った。
「・・・・・以上。終わりにしていいぞ」
先生は教卓に置いてあった教科書などを持って教室をから出て行った。
「ふー」
紅希は、教科書などを机の中にしまうと席を立ち、良祐と空の体を摩った。
「起きな。良祐、空。授業終わったよ」
「ん・・・・・・」
良祐は摩られてから少しして起きたが空は起きる気配が感じられない。
「・・・・・・」
「ふぁ~。サンキュ、紅希」
「おはよ。頑張って起きてたのにね」
「あぁ」
まだ眠たそうな良祐はあくびをしながら教材を机の中にしまった。
良祐は席を立つと空の席の前に移動した。
「・・・・・・空、起きろ」
空に声を掛けたが反応が無く、いまだ爆睡している。
「はぁ~」
「どうする?」
「どうするって言ったってなぁ・・・・・」
「良祐!」
紅希と一緒に空をどうしようか考えていると、教室の後ろの扉から女性の声で「良祐」と名前を呼ばれたので良祐は扉のほうに顔を向けた。
「ん?あ、先輩」
良祐の言葉を聞いたクラス中の視線が一斉に後ろの扉に向いた。
分かっているだろうが声の主は桜であった。
前にも桜はこの教室に来たので、今回は二回目になる。が、クラスの生徒は学校のアイドルがまた現れたことに驚愕している。
「何でまたここに?」
「ねぇ。今、高藤君の事、名前で呼んだよね?」
「うん。しかも呼び捨てで・・・・・・」
クラス中が疑問を口に出している。
「どうしたんですか?先輩」
良祐は駆け足で桜のとこまで向かった。
「今日も騎士城に行くでしょ?」
良祐にしか聞こえない程度の小さい声で桜が聞いてきた。
「ええ」
すぐに返事を返した良祐を見て、桜は困った顔をした。
「どうかしたんですか?」
桜の表情をみて良祐は口を開いた。
「ちょっと、行かなくちゃいけない場所があるんだけど・・・・・」
「あるんだけど、何ですか?」
「一緒に来てくれない?」
「えっ?」
良祐は桜の言葉にキョトンとした。
「えーっと、空と紅希はどうするんですか?」
「もちろん二人が良いって言ってくれれば付いてきてもらいたいわ」
「・・・・・・」
桜は未だ困った顔をして、良祐を見ている。
(弱いんだよなぁ、先輩のこうゆう顔・・・・・)
「分かりました。それじゃ、学校が終わったら先輩は教室にいてください」
「ほんと?ありがとう良祐」
表情が明るくなったのを見て良祐はホッとした。
「それじゃ、また後でね」
桜は良祐に手を振って四階に歩いていった。
「・・・・・・」
桜が見えなくなったのを確認すると紅希の元に歩いていった。
「何だって?」
「あぁ、実は・・・・・・」
良祐はさっきの会話を紅希に話した。
「僕と空は先に騎士城に行くから二人で行ってきて」
「え?何で?」
紅希が「行かない」と言ったので良祐は理由を聞いた。
「だって・・・・・・」
「邪魔できないからな・・・」
紅希の言葉をいつの間にかに起きた空が言った。
「邪魔って何だよ?」
「邪魔者は邪魔者だよ」
「・・・・・おい」
結局、最後まで紅希と空は行かないと言い、放課後になった。
「んじゃ、先に行ってくぜ」
「分かった」
空と紅希は、良祐に言い教室を後にした。
「んじゃ、行きますか・・・・・」
一人になった良祐は桜がいる二年B組に向かった。