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THIRD EYE  作者: 暇な青年
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第25章夏休み編 合宿(後編)

訓練最終日 8月6日 午前10時38分


「・・・・・・今日で訓練は最後だ。これから指名する者やつは椅子に付け」


体育館で竜也が言った。


「・・・・・だ以上」


「っちょっと!」


「ん、何だ?」


「俺たちの名前が呼ばれて無いんですけど」


良祐があわてて口を開いた。


そう、さっきの内容に良祐、空、紅希の名前が含まれていなかった。


「・・・・・・お前達には、人形(ドール)の殲滅に行ってもらう」


「・・・・・・っえ?」


最初は何を言われたか分かっていなかったが、すぐに頭の中で整理が付いた。


同じく空と紅希も竜也の言葉に耳を疑った。


「それは、どういう事ですか?」


紅希が表情を変えずに聞いた。


「言葉の意味そのものだ。さっき、立花から連絡があって、この付近に人形(ドール)の反応があった。その為、お前達に行ってもらう」


「了解・・・・・・」


空は答えるとそのまま体育館を出て行った。


「っちょ、空。隊長、場所は?」


「既にインフォメーションに送ってある」


「了解。いこ良祐」


「ああ」


空の後を追って良祐と紅希は体育館を出た。


「彼らだけで大丈夫なの?」


「・・・・・・あいつらはこの訓練でだいぶ強くなった。まぁ、その事にあいつらは気づいて無いからな、気付かせる為にあいつらを行かせたんだ」


聖華の問いに静かに答えた。


「空!」


「おせぇぞ」


学校の外で空が待っていた。


「刀は持ったな?」


「おう」


「うん」


空の問いに二人は答えた。


「よし、行くぞ」


掛け声とともに三人はセカンド・アイを発動させた。


瞳の色が変わると同時に地面をけり尋常で無いスピードで移動を始めた。




「わぁぁ」


「助けてくれぇ」


良祐たちが訓練をしていた所から少し離れた場所に住宅地があり、その近くに小さな森がある。そこに二人の男子生徒は逃げていた。


男子生徒はこの地域の中学校の生徒だろう。


男子生徒たちは、走りながらも後ろに顔を向けた。


「ハァ・・・ハァ・・・」


男子生徒の目に映るものは成人男性の姿をしているが左右の腕に鎌の様な刃が付いており、その刃を使って、森の木を次々と切り裂き、男子生徒達を追ってきている。


「っあ」


一人の男子生徒が石に躓いて体勢を崩した。


「あ・・・あぁ」


(とも)!」


「た、助けて兄ちゃん・・・・・・」


男は智の前まで歩み寄ると右腕の鎌を智の首目掛けて振ってきた。


「ッう」


とっさに智は目をつぶった。だが、智に痛みは無くその代わりに音が聞こえた。


鉄と鉄がぶつかり合う音が。


「だれ?」


智の前に智を庇う形で、良祐が男の刃を自分の刀で受け止めている。


「大丈夫か?」


「う、うん」


「そりゃ、結構」


良祐は智を見ずに答えた。


「智!」


「兄ちゃん!」


智は駆け寄ってきた兄に抱きついた。


「紅希」


「分かってるよ。・・二人ともこっちへ」


兄弟の後ろから紅希が、声を掛けた。


「しっかり摑まってて」


紅希は二人を抱えるとその場から消えた。


「おら」


相手の刃を押し返すと良祐は少し距離をとった。


「近くにまだ、いっぱいいるぞ」


良祐の後ろに空が現れた。


「どれくらい?」


「さぁ?」


(おいおい)


良祐が男から空に視線を移すと、男は体当たりしてきた。


「・・・・・・」


「んじゃ、オレ、あっちで戦ってるわ」


空は良祐を見てからその場を移動した。


「あいよ。・・・っハ」


返事をすると良祐は男の体当たりを難なくかわし、男を斬り付けた。


「ガァァァ」


男の切り口からは真っ赤な血が出てきた。


「グゥゥゥ」


「ガァ!」


怒りに満ちた顔で男は襲ってきた。男の攻撃は、休むことなく切り裂いてくる。だがそれを、微かな動作でしっかりと避けている。


(見える!)


良祐には男の攻撃がスローモーションに見えている。


「そこ・・・だ!」


一点の隙を見つけ良祐は地面を強くけって男の胴体を斬り裂いた。


「・・・・・・強くなってる?」


「ガァァ」


「おっと」


さっきと姿形が同じ人形(ドール)がでてきた。


「良いぜ・・・きな!」




「戻りました」


「お疲れ」


校長室にいる竜也に報告するために良祐たちは、いまここにいる。


部屋の中には竜也と聖華がいた。


「・・・どうだ、強くなっていたろ?」


「ええ」


「隊長は分かっていたんですか?」


「まぁ、これでも隊長だからな」


微笑んで良祐たちに言った。


「二時間後にはバスの中にいろ。それまでは、自由行動だ」


「は~い」


返事をし、良祐達は、部屋を出た。


「想像以上だな」


「彼らですか?」


「あぁ」


竜也は良祐たちが目的地に向かった瞬間、その後を付けていた。


(まさか、あの数を10分で片付けるとは・・・)


あのあと、良祐達は人形(ドール)動物(ビースト)タイプのを相手に合計百体と戦った。


それなのに、付いた傷は、良祐が智を庇って刃を受け止めた時に付いた土、それ意外は何一つ汚れていないし傷一つ、付かなかった。


(ふふ、面白い・・・)


こうして良祐たちの始めての合宿が終わった。


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