第23章夏休み編 合宿(中編その2)
「よしそろったな」
一時間後、良祐達は校長室に居た。校長室には良祐たちを入れ男六人、女五人の計11人いる。
「これより訓練を始める。だがその前に場所を移す。付いて来い」
そう言い竜也は席を立ち廊下に出た。その後に続いて良祐達もついて行った。
つれて来られた場所は体育館だった。が中にあるのは椅子が六個にその周りに見て事の無い装置が付いている。そして後ろのステージには大きな画面が付いている。
「何ですか、あれ?」
良祐は装置を見て竜也に質問した。
「・・・アレは架空戦闘ができる装置だ。架空戦闘とは、仮定の世界で戦闘ができる。そして架空の世界ではどんなに怪我をしても現実には怪我をしていない。だが痛みは感じるぞ」
「へ~」
説明を聞いた空が感心していると、竜也が空を見てその後ショートカットの春間に視線を向けた。
「・・・・・空それと春間、椅子に座れ」
「オレ?」
「・・・・・」
二人は椅子に座ると竜也が口を開いた。
「あの春間って人、うちの隊じゃ無いよな?」
良祐は春間を見て紅希に聞いた。
「うん。竜也隊の人だよ」
「架空の世界では傷が見えるからな」
そう言って装置のスイッチを入れた。
「残ってる奴はそこで観戦していろ」
架空世界ステージ1
目を開けた空は周りを見渡した。
「へ~」
見渡す限りの森林に驚いた。
すると、上から竜也の声が聞こえた。
『聞こえるか?戦闘に関して言い忘れていた。戦闘では、相手に致命傷を与えるか即死させるダメージを与えると戦闘終了だ。同じ騎士だからと言って手を抜くなよ・・・それじゃ、始め!!』
言い終わると通信が切れ、空は上を見上げた。
「・・・・・・」
上から視線を戻し周りを見てみると当然、森林しか見えず対戦相手も見えない。音も草の摩れる音意外何も聞こえない。
すると、真正面から草の摩れる音以外の人が草を掻き分けている音に気づいた。
「・・・・・・」
帯刀していた刀を抜刀して音の方に走り出した。
「っツ!?」
その瞬間、空は後ろから痛みを感じた。右手で背中を触ってみると痛みを感じ、右手を見て見ると、空の手のひらは血だらけだった。もちろん、それは空が背中からでた血である。
「ふ-」
呼吸を整え瞼を閉じた。
(久しぶりなんで忘れてたわ)
(とった)
瞳を閉じた空に向かって青い瞳をした春間が切りかかってきた。
空はゆっくりと瞼をあけたが避けるそぶりをしない。
春間の刃が空の首を切り裂いた。が切り口から炎があふれ出て、空の体は炎となって消えた。
「なッ!?」
春間は辺りを見回していると春間の後ろから次々と木々がなが倒されていく。がなぜ倒されていくかは、分からないまま春間はそっちの方に構えた。
木々をなぎ倒した正体が春間の現れた。がそれは見えない斬撃・・・鎌鼬だった。セカンド・アイをしているおかげで微かに見えているので鎌鼬を受け止めようとしたが弾き飛ばされてしまった。
すぐに、体勢を立て直し倒れている木々の先を見ると緋色の瞳をした、空が立っていた。
「こっからが本番だぜ」
現実世界
ステージの画面で空の戦闘を観戦していると、竜也が口を開いた。
「・・・・・・次、紅希と桜、椅子に付け」
「ん」
「あら」
呼ばれた二人は顔を見合わせた。
「お手柔らかにお願いしますよ。先輩」
「こちらこそ」
そう言って二人は椅子に座りに行った。
「二人とも頑張って」
良祐の声を聞いた二人は微笑んだ。
架空世界ステージ2
「・・・・・・」
紅希が瞼を開けるとそこはビルがいくつも建っている都会の真ん中だった。
ビルとビルの間の広い道に紅希と離れた場所に桜は立っていた。
「初めて先輩との戦闘ですね」
「そうね」
静かな口調で言い合っていると二人は同時に瞼を閉じすぐに瞼を開けた。
それと同時に二人は距離を縮めて刃を交えた。
「始めてみましたよ先輩のセカンド・アイ」
「ふふ」
紅希の瞳の色は忘れな草色。それに対して桜の瞳は、薄い、とても薄く、白と間違えるほどの薄さの桜色だった。
現実世界
「・・・・・・よし。次は良祐と聖華、入れ」
呼ばれた良祐は反応した。そして後ろを振り向いた。後ろには、体育館の隅で目をつぶって壁に寄りかかっている聖華がいた。
「・・・・・・」
目を開け装置に向かった。
それを見て、良祐も後に続いて装置に向かった。
「お手柔らかに」
椅子に座ると聖華が言ってきた。
「こちらこそ」
そう返し良祐は、瞼を閉じた。
架空世界ステージ3
「・・・・・・」
瞼を開けると、そこは学校の屋上だった。そこに、良祐と聖華は立っていた。
「・・・・・・」
無言のまま二人は腰の刀を抜刀し瞳を閉じた。
そのままゆっくりと瞼を開けると、良祐は菜の花色をしている。
聖華の瞳は白っぽい黄緑色した若菜色になっている。
(緑系・・・・・・属性は何だ?)
聖華の瞳を見て考えていると聖華が構えた。
「行くよ」
「どうぞ」
良祐も構え、答えた。
「・・・・・・」
そのまま二人は無言のまま刃を交えた。
現実世界
「さて、どこまで戦えるか?」
一人、画面を見て呟く竜也だった。