第16章夏休み編 テスト(後編)
「っはよ」
良祐と紅希が話し合ってるときに空がやって来た。
「お、はよ~」
「おはよう」
「なに、言い合ってたんだ?」
空が席に鞄を置き後ろ向きに席に座った。
「それがさ~」
「っちょ、紅希」
紅希をとめようとしたら空が紅希の表情を見て何かを感じ取った。
「何があったんだ?良祐」
「え、何も無いぜ、ハハ・・・・・」
「・・・・・笑えて無いぞ。良祐」
空は良祐に向かってあきれたように言った。
「親友に隠し事は良く無いぞ良祐」
「そうだよ、良祐」
「・・・お前ら、楽しんでるだろ?」
「おう」
「うん」
二人は良祐の問いに対してはっきりと返事した。
「たく、勝手にしろい」
紅希は空の耳元で朝、目撃した事を小さな声で教えた。
すると
「がぁはははははははははは」
「おい!」
大爆笑している空をみて良祐は低い声で言った。
「わりぃわりぃ」
「ったく」
何だかんだしているとHRの時間となり、勝田先生が入ってきた。
「ほれ、みんな座れ」
良祐達はさっきまでと違い先生の話を聞かず勉強している。
(今日は数学と理科選択だからな。しっかりやっとかないと)
「以上。テスト頑張れよ」
そう言って先生はクラスから出て行った。
「良祐たち熱心だね」
周りの男女が良祐たちの勉強姿を見て言った。
「しょうがないよ。良祐達は良くわかんないけど、授業中にどっかいくからな」
「そうそう。テストで点取らないと」
などと言われていた。
「よし、席に着け」
鐘が鳴り勝田先生じゃない先生が入ってきた。
「テストを始める。カンニングはするなよ」
先生はテストを配り始めた。
「まだ、表にするなよ」
配り終えると時計の秒針の音が微かに聞こえるぐらいに静かになった。
8時50分・・・・・始まりの鐘がなった。
「はじめ」
それと同時に先生が合図をした。それを聞いた生徒達はいっせいに答案用紙を表にした。
「どうだった?」
数学と理科のテストが終わり紅希が聞いてきた。
「まぁまぁ」
「理科はできたが、数学は・・・・・・」
落ち込んでる空を見て良祐と紅希はため息をした。
「まぁ、あと六教科頑張れよ。せっかくこの一週間、隊長が騎士城にこなくていいって言ってくれたんだがら」
良祐が空に向けて言った。
「そうそう。帰ったら勉強しな」
「えぇ~」
「えぇ~じゃない!」
空の言葉に二人は反応した。
「分かったよ・・・・・」
ため息をして空は渋々言った。
テストが始まってから三日が過ぎた。
「っしゃ~。おわった~!!」
最後の現代文のテストが終わった途端空は声を上げた。
「はいはい。良かったな」
投げ遣りに良祐が言った。
「どうする?騎士城に行く?」
紅希が聞いてきた。
「そうだな・・・・・・」
結局、立花から何の任務もこなかったので良祐達は四日間、騎士城に行ってない。
「明日でいいさ」
空が上機嫌で言った。
「そうだな」
「んじゃ、帰ろうぜ」
「まて、まだHRやって無いぞ」
そういわれ空は危うく帰ってしまうところだった。
「そうだった」
「よし、終わりにするぞ。明日はテスト返しで、その次の日は終業式だ」
「っしゃー」
クラス中が浮かれていた。
もちろん良祐たちもだ。
「だが、テストが赤点者には夏休みに来て地獄を見る事になるぞ」
「えぇー」
さっきと変わって一気にテンションが下がった。
「んじゃ、あと二日間頑張って来いよ。以上、帰ってよし」
クラスのほとんどがすぐに教室を出て行った。
「俺たちも帰ろうぜ」
「あぁ」
良祐の言葉を聞いて空が上機嫌に答えた。
それから数日後には空は地獄を見る事になる。が空はそんな事になるとは、思ってもいなかった