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ルル姉さん

ずっと投稿しそびれていました。

お久しぶりです。

評価、ブクマ、ありがとうございます。

とてもとてもありがたいです。

部屋を出て子供部屋に戻る途中、ルル姉さんが話しかけてきた。

「私たちがこの世界にきて、もう三年になるんだね。早いねぇ。でも、まだ三歳になんだもんね。」

「うん。そうだね。焦らずゆっくり、ゆっくり。楽しんで、ね。」

「その割にルナは生き急いでいるように見えるんだけどなぁ。」

でも、楽しくて。

そう答えると、ルル姉さんはクスっと笑った。

「プレッシャーを感じすぎて何も見えなくなってたけど、ルナって本当は好奇心旺盛だからなぁ・・・。」


双子の姉であるルル姉さんが前世の義姉だとわかったのは、私たちがちょうど二歳になる月のことだった。

二人でソファに並んでメイドのマリッサに教えてもらった基本の文字の復習をしているとき、新入りのメイドがたまたま戸棚に置いてあった手鏡が私の上に落ちてきたのだ。

そのとき、ルル姉さんが叫んだのが「空音、危ないっ!」だった。


私はルル姉さんの結界魔法に守られて何ともなかったのだが、ルル姉さんは妹のことを前世の義妹の名前で呼んでしまったことを後悔しかけた。

結界が解けた後、私がルル姉さんをじっと見つめて前世の名前で呼んだことによって、お互いの前世を認識しあったということだ。


その夜のベッドの中での秘密の話し合いにより、お互いのことは人目の有無に関わらずルル、ルナと呼ぶことにした。

前世を自ら捨てた私は言わずもがな。

ルル姉さんも新しい生を生きていくことを決意したからだ。

ルル姉さんは私が死んだ後、交通事故にあって死んでしまったらしい。

「死んだって自覚はなかったんだけどね。」とルル姉さんは言った。


ちなみにルル姉さんの今のステータスはこんな感じ。

情報交換の過程で見せてもらった。


ステータス

名前:ルル・フローライト

種族:ヴァンパイア

Lv.1

HP:100

MP:100

筋力:5

俊敏:7

器用:10

持久:5

 ユニークスキル

「結界魔法」「治癒」「読心術」

 スキル

「絵画Lv.7」「瞑想Lv.9」「計算Lv.5」「言語理解Lv.2」


「絵画」のスキルは、赤ちゃんのとき暇つぶしに布団に指で絵を描くふりをしていたら芽生えたそうだ。

前世から美術が好きだったルル姉さんにピッタリのスキルだと思う。

どんな効果があるのかは本格的な絵をかいていないからわからないらしいが、ルル姉さんがこの世界で幸せに生きるのにはいいスキルなんじゃないだろうか。

私は少し期待している。


「瞑想」を取得したのは私と同じ理由だろう。

赤ちゃんのときの暇つぶし。

「計算」もたぶん暇つぶしとしてしていたんじゃないかなと思っている。

姉さん、理数が得意だったから。


姉さんは転生するとき、私のようにキャラクターデザインをした記憶はないらしい。

ただし、願いを聞かれた記憶はあるそうだ。

答えた願いは秘密だと言われたが、姉さんのユニークスキルを見ると大体想像がついてしまう。

・・・心配かけて、本当にごめんなさい。姉さん。


前世の姉さんと私は血がつながっていなくて、父親と母親の連れ子同士だった。

私の本当の母親が他界して、私の父親が再婚したのが姉さんのお母さんだったのだ。

父が再婚したとき、私は中学生で、姉さんは既に社会人になっていた。

かなり年の離れた姉妹だったが、姉さんは私を本当に大切にして可愛がってくれた。

自殺について何とも思っていなかったが、死ぬ間際に、姉さんにだけは申し訳ないと感じたほど。

私は姉さんが大好きだった。


もちろん今も、ルル姉さんのことが大好きだ。


「それにしてもこの世界で受ける教育、楽しみだなぁ。」

これまでにこの世界で学んだものといえば、メイドのマリッサに教えてもらったこの世界の常識と母さんに読んでもらった童話集くらいだ。

この世界の文明レベルは魔法やスキルを抜きにすると前世で言う中世ヨーロッパくらいなので、羊皮紙に写本して作られた本はとても高価。

うちはお金持ちだと言っても、子供用の本はあの童話集しかない。

父さんの書斎に忍び込んで専門書を覗いてみたこともあったが、専門用語がずらりと並んでいて理解できなかった。

あの本たちを読めるようになると思うと、そして新しい知識が手に入るのだと思うと、やはり心が躍る。


「勉強はしないって言ってたのに?」

笑いを含んだ声と目で、ルル姉さんが返してきた。

「人から押しつけられる勉強は嫌なんだけど、知識欲が飢えてるし、貴族の教育って気になるんだよ。」

前世では三歳のころは、お姫様ごっこばかりしていた私だ。

本物のお姫様の生活、気にならないはずがない。

「そっか。ふふ、ルナのそういうところ、やっぱり好きだなぁ。」

歩いている最中なのにも関わらず、姉さんがぎゅっと抱き着いてきた。


「うん。私も大好きだよ。姉さん。」

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