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目覚め

初めまして。ゆっくり更新&不定期更新ですがよろしくお願いします。

目が覚めると、白い世界だった。

プラスチックっぽいタイルの床に寝ころんでいた私は、むっくりと体を起こす。

半透明な壁に、仰々しい装飾が施された分厚い本が立てかけられているのが目に入った。

いつもの通りに動く体が動くことを確認して、私はその本の方に向かう。

近づいてみると、その本は想像していたよりも豪華なものだということが分かった。

重々しい深紅の布の表紙に、煌びやかな宝石がたくさん縫い付けられている。

重そうだな、というのが正直な感想だった。

もう少しシンプルに出来ないものなのだろうか。


本の紙は、随分古くなっているようでザラザラしていた。

ただし、本文のインクは全く掠れていない。

黒々として見るものに印象付けていた。


「お前の願いを述べろ」と。


分厚い本の一番初めのページに、その一文だけが書かれている。

「はい?」思わず声が出た。

まじか。この一文のためだけにこの本があるとは。信じがたい。

はぁ、まぁ、私の願い。

声に出せばいいのだろうか。

どうせこの世界から抜け出すことはできないのだ。

言うとおりにしてやろう。

私の願い・・・。

「だったら、天才になりたいなぁ。」

生前のことを思い出す。


私の能力は大体人並みで、妙に記憶力だけが良かった。

そのため、学校の勉強はまあまあ余裕。

天才と呼ばれて親戚たちの期待を集めていた。

そのままいい成績を取り続けて、そして全国模試で出会った本物の天才たち。

頭に詰め込んだ知識で点数こそ勝っていたが、ひらめき力では遠く及ばなかった。

それでも私に期待を寄せてくる親戚たちの圧力に耐えきれず、私は死を選んだ。


って、改めて考えるとかなり格好悪い理由で死んだんだな、私。

安っぽい大衆小説みたいだ。

もう少し捻りを入れられなかったのだろうか。

まぁ、最後の方は何も考えてなかったからなぁ・・・。

なにはともあれ、だから、私は天才になりたい。


「天才じゃなくても、いいか。」少し考えて、私はそう思った。

もう一度生きられるとするなら、天才じゃなくても好き勝手生きよう。


人に言われてする勉強じゃなくて、自分が学びたいことを学ぶ。

オシャレもする。

自分から告白してみる。

作曲してみたい。

世界中を旅したい。


死んでしまえばそれも叶わぬ夢なのだが・・・。

こんな真っ白な世界にいるのだ。

転生ってやつを、少しくらい期待したっていいだろう。


そう言えば・・・と、さっきの本の方に目をやる。

願いを述べたが何も起こらないじゃないか。そう思って覗き込んでみて、驚いた。

新しい文章が浮かび上がっている。

「わお、ファンタジー。」

この本に抱いたさっきの感想も忘れて、私は小さく歓声をあげた。

ワクワクしてくる。


そうだ、そう言えば私、こういうのが好きだったんだよな。

小学生のころは本気で魔法の練習をしていたし、十一歳になれば自分も魔法学校に行けると思っていた。

「なになに、ユニークスキル『経験値10倍』と。うん。わかった。何のことか全然わからない。」

何か他にヒントはないか、とページをめくる。

じわじわと滲むように、インクが浮かび上がってきたページがあった。

「ステータスプレート」

一番上の行に書いてある単語を読み上げた。


 ステータスプレート

名前:ー

種族:ー

Lv.ー

HP:ー

MP:ー

ユニークスキル

「経験値10倍」「」「」


・・・どういうこと?

もっと説明が必要だ。さっき飛ばしたページに戻ってみる。

「キャラクターをデザインしてください。」

一ページ前にその一文が書かれているだけだった。


「本のくせにまともな文章書いてないんかいお前はっ!」

私の声が白い壁に反響して帰ってくる。

はぁ。

仕方ない。色々試してみるしかないか。

「名前」と呟いてみる。

ひらがなの入力画面が現れた。

「・・・種族」


「ヒューマン」「エルフ」「フェアリー」「ドワーフ」「キャットシー」「猫族」「狼族」・・・etc.


ファンタジーでお馴染みの種族の名前が「種族」の下にずらりと現れた。

これもうスマホじゃない?というツッコミはやめにして、下の方までスクロールしていく。

そう言えば、エルフはファンタジー小説と同じく長命なのだろうか。

ポン、とエルフの欄を触ってみると、エルフに関する説明が現れた。

「弓と魔法での戦闘が有名。平均寿命は約300年。と。大体設定通りだな。」


試したところ、

Lvの欄は今はどうにも出来ない。

レベルはキャラデザで決めるものではないからだろう。

HPとMPは合計10ポイントから割り振ることができた。

ユニークスキルは「経験値10倍」が固定で、あとの二枠は自分で決められるようだ。


さて、ではそろそろキャラクターデザインをはじめよう。




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