表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/31

25.海の中はやばい何がヤバいのかってっとやばい

 海の中――。

 呼吸、呼吸うう。

 喘ぐようにニーナの肩を叩く。

 え、ええい。まだるっこしい。彼女の口を塞ぎ、酸素を肺へ送り込む。

 お、思った以上にきついなこれ。

 口移しで息継ぎをするとなると、視界が完全に塞がるのだ。

 なので、ずっと口を引っ付けているわけにもいかず、ギリギリまで呼吸を我慢するわけだが……。

 余裕がない僕と違って、ちゅうに恥じらいを見せさくっとちゅうができないニーナに僕の意識が何度か飛びそうになった。

 

 海中だと喋ることもできないから、余計に僕の焦燥を掻き立てる。

 海はとても澄んでいて透明度も良好なのだけど、裸眼は辛い。

 慣れている人なら観察可能かもしれない。しかし、初めて海に潜る僕には難易度が高すぎたのだ。

 なんとか岸や海底は分かるからニーナに指をさしながら「見て見て」とするのが精一杯だった。


 上、上!

 と指で示しながら、彼女の唇を奪い酸素の補給を行う。

 

「ぷはあ……」

「ビャクヤさん、大胆……ワイルドなのも素敵です」


 海面から顔を出す。

 空気があるって素晴らしい!

 死ぬか生きるかを彷徨っていた僕とは対照的にニーナは頬に両手を当てていい気なものだ。


「必死なんだよ! こっちは。離すなよ。しっかりと僕を掴んでおいてくれよ」

「そんなあ。ビャクヤさんがしかとわたしを掴んでいるじゃないですかあ」


 ニーナはいやんいやんと首を振る。

 体を揺するんじゃないってば。手が滑ったらどうするんだよ。


「海底の様子はどうだった? 変わったところはあったかな?」

「何も変化がないです。崖の方に行ってみますか?」

「だな。このまま進めるか?」

「もちろんです!」


 移動だけなら海から顔を出したままの方がよい。

 呼吸の心配をせずに――ぐ、ぐううおおお。

 

「速い! 速すぎる! もっとゆっくり」

「はいい」


 振り落とされたらどうするんだよ。ニーナの泳ぎは水上バイクよりスピードが出ていた気がする。

 ゆっくりになったとはいえ、僕が地上を全力疾走するより速い。

 なので、あっという間に崖の下までやってきた。

 何だかここも懐かしい。最初の釣りは磯から投げ釣りをしたんだったよな。磯から少し歩いたところは崖になっているんだ。


「では、潜りますう」

「ま、待って、まだ心の……ぶ」


 せめて深呼吸してからにしてくれよ。ちょうど息を吸うところだったから、ニーナのほっぺを両手で挟み口づけをする。

 

『ビャクヤさん、あれ!』


 すげえ。水中だってのにニーナの声が聞こえるじゃないか!

 こっちは当たり前だけどブクブクとしかできない。

 ニーナが前を示してくれても、見えん。

 再び海面にあがってもらうことにしよう。


「ぷはあ……」

「見ないんですか?」

「見えないんだよ。どうなってた?」

「浮いてました!」

「おお! 深さはだいたいどんなもんだ?」

「そうですね。海面から15~20メートルくらいでしょうか」


 島は陸ごと移動するわけじゃなく、船のように浮くというわけか。

 砂浜の方は変化なしとニーナが言っていたけど、「島の一部」だからだと思う。

 どこからどこまでが島なのか砂浜の方も確認したおきたいな。できれば、ニーナ一人で行ってもらいたい。


「ニーナ」


 僕が何を言わんとしているのか察したニーナが悲しそうな顔をする。

 ……分かった。分かったって。


「砂浜の方も再度調査しよう」

「はい!」


 再び、窒息するかしないの瀬戸際で戦うことになる僕であった。

 

 ◇◇◇

 

「あんちゃん、大丈夫?」

「ぜえはあ……な、なんとか」


 陸地よ。君はなんて愛おしいのだ。

 砂浜の上に倒れ込み、荒い息を吐く。

 死ぬかと思った。何度か意識が飛んだよ!

 地上種は地上種らしく、陸地の上でいるべきなのだ。呼吸ができない海の中に行くものじゃあない。

 ニーナの悲しそうな顔にほだされてしまった自分が憎い。どうして僕はあの時、「引き続き調査をしよう」なんて血迷ったことを口走ったんだ。

 潜っても自分じゃ確認できないので、都度海面に浮上してニーナに聞き込みをした。

 

「飲む?」

「ありがとう」


 パックからヤカンを受け取り、ぐびぐびと水を飲む。

 気を遣って水を汲んできてくれたんだな。

 

「ふう。落ち着いた。ニーナ、協力してくれてありがとうな」

「いえいえー。楽しかったです!」


 ポッと頬を赤らめるニーナだった。

 「またよろしく」なんてことは口が裂けても言わないぞ!

 もう二度と体験したくない。海の中で生死をさまようのは、ね。

 

 ようやく落ち着いてきた。

 あぐらをかき、ヤカンを傾けて残った水を頭から被る。

 ぶるぶると首を振ってヤカンを砂浜の上に置く。

 

「分かったことを共有しよう」

「待ってたぜ!」

「はいい」


 島が移動するときは船のように海中から浮かび上がる。

 正確には地面と切り離される、といったところ。

 海面から深さ15-20メートルくらいまでが島の範囲で、崖の下のような深さが20メートル以上あるところだったら崖の途中で切れる。

 砂浜のように遠浅になっている場所だと、水深が15-20メートルくらいのところで切れ目が入っていた。

 海水ごと移動するのわけじゃなく、地面が動く。

 遠浅になっている部分は海の下に沈んでいるだけで、島の一部はあくまで陸地部分ってことだな。

 

「――というわけで、島は船のようなものだったってわけだ」

「ほええ。大きな船なんですねー」

「動力は? とか疑問が次々に湧いてくるけど、どうなっているのか仕組みはまるで分らない」


 そこでパックが右手をあげ意見を挟む。


「だったら、あんちゃん。ええと、本を読めば何か分かるかも?」

「確かに! 新しい文章が書きこまれているかもな」


 パチリと指を鳴らし、パックに笑顔を向けた。

 対する彼は気恥ずかしそうに鼻の頭をかく。


「今日のところは調査終了ってことにしようか。残りは食料確保の時間に当てよう。まずは釣りだ」


 竹竿は置きっぱなしにしたままだったな。


「あ、あのお。ビャクヤさん」

「ん?」

「そろそろ、わたしのブラジャーを」

「え、えええ。すまん」


 よくよく見て見ると、ニーナが一糸まとわぬ姿でおっぱいに腕を当てているじゃあないか。

 あぐらをかく僕の傍に彼女の貝殻ブラジャーが置きっぱなしになっていた。

 いつの間に、彼女のブラジャーをはぎ取ったのだろうか。まるで覚えていないんだけど……。

 彼女の様子にすぐに気が付きそうなものだけど、下半身がすっぽんぽん状態を見慣れているので、意識が向かっていなかった。

 ほいと彼女にブラジャーを手渡そうとして、手を止める。

 彼女から背を向けて、後ろ手に彼女へブラジャーを渡す僕なのであった。


※更新忘れてました、、そして、感想返信滞っておりすいません!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

魔法より超能力の方がチートでした

・タイトル

超能力があれば転生特典なしでも強キャラだった件~転移即殺と超回復を鍛え最強になり元の時間軸に戻り破滅を叩き潰す~

・あらすじ

超能力で異世界のモンスターをバッタバッタと薙ぎ倒す。どんどこ更新していきますので、暇つぶしに是非見て頂けますと幸いです。

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ